5月 26th, 2006 のアーカイブ

フラット

上下巻、全800ページと大部なようだけど、必読ですよ。この人は文章は、さすがピューリツァー賞を三度も取っているだけあって、面白く読ませる力があるというか、キャッチーに引っかけるのがうまいです。
メディア探究: ようやく出ます「フラット化する世界」日本語版

彼がNYタイムズの多額の出張旅費を使って取材したことのほとんどは、フラット化した世界では、グーグルを使えばだれでも知ることができる。
「モザイク」というソフトウェアが世界をどう変えたかについて、10ページ以上にわたって懇切丁寧に教えてほしいとすれば、この本をおすすめする。それ以外の人にとっては、本書の記述は、その題名のように平板だろう。
池田信夫 blog : フラット化する世界

ええ?! 800ページのうち読むべき部分はたったの10ページで、しかもそれがモザイクの話??
いったいどちらを信じればいいのでしょうか。

「フラット化する世界」は、まず値段をフラットにしてくれ

ここだw

Valuation

ご案内のとおり、会社法になってからは、ストックオプションの発行時の公正な価値が会社が労働者から受ける役務と比較して、「特に有利」でなければ株主総会決議は不要という解釈になりました。
isologue: 会社法下の転換社債(転換社債の新株予約権部分には価値は無いのか?)

「労働者から受ける役務と比較」する対象が、ストックオプションの発行価額ではなく、「発行時の公正な価値」となっているところがミソなんでしょうか? 無償発行したとしても、その本来の価値が労働者から受ける役務に対して有利でなければ総会は必要ないというように読めますが、総会の決議事項に盛り込むか否かを判断するには、やっぱりオプションのvaluationを行わなければならないことには変わりないのではないでしょうか。オプションのvaluationよりも「労働者から受ける役務」の価値計算の方が難しそうな気がするんですがw

いつもながら大変参考となるエントリで、幾つかの要点をかいつまんでまとめただけで転換社債型新株予約権の評価や会計についておさらいが出来てしまいます。

  • この5月からストックオプション会計が導入されて、単独の新株予約権(ストックオプション等)や、「転換社債型」の要件を満たさない新株予約権付社債については、オプションの価値を認識しなければいけなくなった。
  • しかし、「転換社債型」の要件を満たすものについては、引き続き「一括法」が認められることにより、新株予約権部分のオプションバリューを区分して開示する義務はない。
  • 義務がないということは、「価値が無い」と考えていい?ということか?
     → 「新株予約権の発行価額が無償」というのは、「オプションバリューの価値がゼロ」という意味ではない。
  • 転換社債の場合には旧商法時代から「オプションバリューがゼロでないものを無償発行しても、(金利がその分削減される分など)と比較して特に有利でなければ有利発行にはあたらず、株主総会の特別決議は不要」(平成14年2月28日 日本証券業協会「転換社債に関するワーキング・グループ」)

うーん、「(金利がその分削減される分など)と比較して特に有利でなければ有利発行にはあたらず」なんて言ってますが、では本当に有利でないことを証明するためにはやはりオプション部分の評価を行って金利減免分と比較する必要があるということになりますが、単にValuationを忌避するための免罪符としているようにしか思えないのですが。

金融工学とかやってらっしゃる方が素直に「無償発行=オプションバリューがゼロ」と読むと、(中略)オプションバリューがゼロになるわけないじゃん!」と思われると思いますが、

私は金融工学などさっぱりですが、それでも単純に「ゼロになるわけないじゃん!」とは思いますよ。「当局」もゼロではないと言っているものの、現実の評価作業については逃げ回っているようにしか見えません。Black-Sholes ModelならExcelで簡単に計算できますし、B/Sモデルはヨーロピアン・タイプ用だから駄目というのであればbinominalに関しても下記のように参考になるサイトは沢山あるわけで、頭のいい人たちが揃っているのだから、実務家が使いやすいような指針を示してくれればいいのに、と思いますね。

金融大学 オプション取引入門講座 第10回 2項モデル(バイノミナルモデル)
Option Pricing Models and the “Greeks”
Binomial options pricing model

ところで、日立の野村が設計した社債について

なぜバラバラで売った方が高く売れて発行コストも安いのに、はじめからバラバラで売らないのか?と考えると、「バラバラにすると区分法を採用しないといけないから」、ということくらいしか思いつきませんよね。

と仰っていますが、単純に日本の新株予約権付社債は分離できない(旧商法第341条第4項)からなのではないでしょうか? (はずしてますか?)

まだ良く分かっていないんで、間違いがあったらご指摘いただきたいのですが、
IT@CorkというIT関係の非営利組織がWeb 2.0 Half Day Conference というイベントを企画していたところ、Tim O’Reillyの関係するCMP Mediaから「Web 2.0」という用語を使用することはまかりならんとして、「a cease and desist letter 」(なんて訳すのか知りませんが、差止請求のようなものかと。)が送られてきた、ということらしいです。
以下、関連記事一覧。

The letter demands that Tom stop his use of the term “Web 2.0″ in a conference he’s putting on. The letter states that the use of the term is under a trademark application in connection with live events, conferences, etc.
O’Reilly Associated with “Web 2.0″ Trademark Scandal – Michael ArringtonのCrunchnotes

Basically O’Reilly are claiming to have applied for a trademark for the term “Web 2.0″ and therefore IT@Cork can’t use the term for its conference.
O’Reilly trademarks “Web 2.0″ and sets lawyers on IT@Cork!

その他Blog界の反応。
Mr. Open Source Sues IT@Cork
O’Reilly Lawyers To Sue Over “Web 2.0″

レターを送ったのは顧問弁護士で、Timは知らなかったみたいな見方もありますが、まだ良く分かりません。

I sense that a lynching is about to occur in the blogosphere, and Tim O’Reilly is going to be the person lynched. Bloggers aren’t going to trouble themselves with the fact that this letter is from CMP, not O’Reilly (Tim may not know about it).
O’Reilly Associated with “Web 2.0″ Trademark Scandal

[ 追記 ]
O’Reilly Radarに、この件についてのポストがあがりました。

In retrospect, we wish we’d contacted the IT@Cork folks personally and talked over the issue before sending legal correspondence. In fact, it turns out that they asked Tim to speak at the conference, though our Web 2.0 Conference team didn’t know that. We’ve sent a followup letter to Donagh Kiernan, agreeing that IT@Cork can use the Web 2.0 name this year. While we stand by the principle that we need to protect our “Web 2.0” mark from unauthorized use in the context of conferences, we apologize for the way we initially handled the issue with IT@Cork.
O’Reilly Radar – Controversy about our “Web 2.0” service mark

「出来れば法的書状を送付する前にIT@Corkの人間と私的にこの問題について話し合えればよかった。IT@Cork側がTimに会合でのスピーチを依頼していたことが判明したが、当方のWeb 2.0 Conference teamはその事実を感知していなかった。我々はDonagh Kiernanに追状を送り今年はIT@Corkが「Web 2.0」という用語の使用が可能であるということで合意した。「Web 2.0」の乱用を阻止すると言う方針に変わりはないが、IT@Corkに対して今回我々が取ったやり方については謝罪する。」

IT@CorkがTimにイベントへの参加を依頼していたことについては、既に上記tomrafteryのポストで明らかにされています。

Ironically I invited Tim O’Reilly to speak at this conference last February and his response (which I received on 15th of February) was
I would love to be able to do it, but my schedule is just too full for an additional international trip.
Tom Raftery’s I.T. views - O’Reilly trademarks “Web 2.0″ and sets lawyers on IT@Cork!

Timは多忙を理由にイベントへの参加を断っていたようですが、結局これがきっかけとなって取り敢えず今回の件は決着したようです。しかしながら

To protect the brand we’ve established with our two Web 2.0 Conferences, we’re taking steps to register “Web 2.0” as our service mark, for conferences.
O’Reilly Radar – Controversy about our “Web 2.0” service mark

とも記載されているので、イベントなどにおいて「Web 2.0」という言葉を冠に使うことについては慎重になった方がよさそうです。

「service mark」とはなんぞや? Trade markとはどう違うの? という疑問についてはWikipediaの解説を見ると、

In some countries, notably the United States, a trademark used to identify a service rather than a product is called a service mark (SM).
Under the US law, service marks have a different standard of use in order to count as a use in commerce, which is necessary to complete registration and to stop infringement by competitors. A trademark normally needs to be used on or directly in association with the sale of goods, such as on a store display. As services are not defined by a concrete product, use of a service mark in advertisements is instead accepted as a use in commerce.

ということなので、結局、商標が製商品に対するものであるのに対して、そのサービス版といったところのようです。