「梅田さんがバブルの発生を宣言」?

「梅田さんがバブルの発生を宣言」したというので元記事を読みましたが、直接に「バブル」と断定しているわけではなかったです。

二〇〇〇年春の米ネットバブル崩壊以来、苦しい時期が続いていたシリコンバレー経済が、久しぶりに活況を呈し始めている。起業熱の高まりは、皮膚感覚から言えば、本連載を開始した一九九六年夏のムードに近い。

TechCrunchに目を通していれる人なら皆感じていることなのでは。あれだけ次々と「Web2.0企業」が現れ、やれXnd Roundを終了なんていってるくせに、肝心のサービスは無料でビジネス・モデルが確立されていないとくれば、よほど鈍い人でない限り「ひょっとしてバブってんじゃないの?」と思う筈。

潤沢な資金を有する巨大企業が競って有望ベンチャーを買収するという「出口の構図」もはっきりしてきた。

del.icio.usやFlickrの買収劇を見ても明らかなように、VCのPrimary Exit Strategyが既にIPOではなくなっていることについては既に取り上げました。ということは、仮に今回もバブルだったとしても、対象となる企業が株式市場に公開しないのであれば、それによって大儲けしたり大損したりするのは一般投資家ではなくVCやAngelのみということになりそう。

また、

ベンチャー成功の出口としての株式公開件数は、米国企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)が厳しいため、九〇年代末のようには伸びないだろう。

とも書かれていますが、ご存知のとおりこの法律は、

エンロン事件などの会計スキャンダルにより、大きく傷ついた証券市場の信用を回復させるため、監査制度、コーポレート・ガバナンスやディスクロージャーなどに関する抜本的な改革を行うことを目的とした法律であり、米国の公開会社に適用されます。
あずさ監査法人のサイトより抜粋

というものです。氏の書き方では、まるで監査等に掛かるコストや手間を嫌ってIPO件数が減っているかのようですが(そういう面もあるでしょうが)、単に、兎にも角にも面白いサービスを無料で提供してユーザー数を獲得した後、大手に買収してもらおうという流れになっているに過ぎないと思います。

確かに「Web 2.0」の定義は相変わらず曖昧だ。しかしその定義を議論し続けるのではなく、数百、いや千以上のベンチャーを本当に作って競争・淘汰させ、その中から一つでもいいからグーグルみたいな突然変異を生み、「Web 2.0」という概念が本当は何だったのかを実証してみよう、そのプロセスに全体として一兆円くらい張ってもいいんじゃないか、という気分がシリコンバレー全体に出てきた。

これは氏の個人的感想ではないかと。少なくとも実際にお金を出したVCは「その中から一つでもいいから」なんて思っていないと思いますよ。

Technorati Tags:

追記 :

サーベーンズ=オクスリー法については、私の認識が甘かったようです。

In short, SOAhas far-reaching implications for private enterprises bound for public status.
Factoring Sarbanes-Oxley Into Your Capital Markets Equation
By Dan Montgomery,Partner, Ernst &Young National Professional Practice, and Gil Forer, Venture Capital Advisory Group Leader




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