7月, 2007 のアーカイブ

新株予約権付社債の会計処理は、転換社債型である場合には一括法と区分法という2つの方法があり、非転換社債型については区分法に準じるものとされています。

当プログラムにおいては転換社債型であるないに拘らず、すべて区分法を採用しています。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

18. 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額は、次のいずれかの方法により会計
処理する。
(2) 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額を、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理(第4 項参照)に準じて処理する(区分法)。

21. 転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(以下「その他の新株予約権付社債」という。)の発行に伴う払込金額は、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理に準じて処理する(第4 項参照)(区分法)。

内容は同じですね。従って、発行ユニットにおいては予約権の発行価額×予約権個数で求められた額が、26行目の資本調達額の欄に自動的にマイナス表示されます。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

19. 転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権が行使されたときの会計処理は次のように行う。
(1) 新株を発行する場合
新株予約権が行使され、新株を発行する場合において、(中略)発行時に区分法を採用しているときは、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額を、資本金又は資本金及び資本準備金に振り替える。

転換社債型新株予約権付社債の場合には、社債の対価部分は新株予約権の行使に伴う払込金額(会社法第236 条第1 項第2 号)(当プログラムでは「行使総額(行使価額×行使株数)」)と一致するよう予め設計されていますので、と言うかそれを転換社債型と呼ぶのですけど、権利行使ユニットにおいて、行使される予約権個数に対応する行使総額と予約権発行価額を、発行時に設定した組み入れ比率に応じて、前ユニットの資本金及び資本準備金の額に加算します。但し、予約権発行価額については発行時、既に純資産額に加えられていますので、26行目の資本調達額は行使総額のみとなります。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

(2) 自己株式を処分する場合

新株予約権が行使され、自己株式を処分する場合の自己株式処分差額の会計処理は、自己株式を募集株式の発行等の手続により処分する場合に準じて取り扱う(自己株式等会計基準第9 項、第10 項及び第12 項)。
自己株式処分差額を計算する際の自己株式の処分の対価については、(中略)発行時に区分法を採用している場合は、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額とする。

企業会計基準第1 号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準

自己株式の処分
9. 自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10. 自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額し、減額しきれない場合は、その他利益
剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
自己株式の消却
12. 自己株式を消却した場合、減額するその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)については、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた結果に従い、消却手続が完了したときに会計処理する。

権利行使の際に充当される自己持分は勿論株式です。従って計算は純資産の中だけで完結し、予約権の消却等の場合のように当期の損益として処理されるわけではありません。要するに当プログラムにおいては26行目で処理されるということです。

社債の対価部分は先程と同様に(行使価額 – 取得価額)×処分株式数でいいでしょう。予約権部分については、当プログラムに「その他資本剰余金」項目は存在せず、純資産の部の増減を26行目に表示するだけですから、ここでこれを加えると発行時に加算した金額とダブってしまいます。従って資本金と資本準備金に加算するのみとします。

※自己株式処分差益については、これまで特に計算していませんでしたが、それは権利行使によって払い込まれる金額をそのまま純資産に加算すれば、結局は今までマイナス計上していた自己株式がプラスに転じるので結果は同じだからです。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

その他の新株予約権付社債の場合(発行者側の会計処理)

21. (略)
また、新株予約権が行使されたときの会計処理については、転換社債型新株予約権付社
債の発行時に区分法を採用している場合に準じて処理する(第19 項参照)。

転換社債型でない新株予約権付社債の場合には、転換社債型が区分法を採用しているときと同じにすれば良いのですが、ひとつ問題があります。それは先程、「行使総額」と同じと見做して処理した社債の対価部分(帳簿価額)で、非転換社債型の場合には両者が一致するとは限りません。その場合に社債部分の対価を資本の部に加算してよいものかどうかについてはハッキリしません。取り敢えずは応急処置として転換社債型と同じ処理を施しています。

これまで自己新株予約権保有時の会計処理(実務対応報告第16 号 会社法による新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い A2-2)を自己持分の取得ユニットにおいて行ってきましたが(当期損益処理)、不正確なので修正することとします。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

自己新株予約権の会計処理(取得時の会計処理)

自己新株予約権の取得は、株主との資本取引ではなく、新株予約権者との損益取引であるが、自己新株予約権の取得時には、その後、当該自己新株予約権を消却するか処分するかが必ずしも明らかではない。このため、時価に基づき取得価額を算定し、取得時には損益を計上しないこととした(第11 項参照)。

これをもって、自己持分の取得ユニットにおいては差額の計算処理を行わないこととします。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

(保有時の会計処理)

39. 自己新株予約権は資産性を有するが、自らが発行した新株予約権を取得し、当該自己新株予約権を資産の部に計上した場合、自己新株予約権とこれに対応する新株予約権の金額が資産の部と純資産の部に両建て表示されることとなる。しかしながら、当該取引は自らが発行した新株予約権の買戻しであり、資産の部と純資産の部との両建て表示ではなく、相殺表示する方が実態に即していると考えられる(第13 項参照)。

「保有時の会計処理」とありますが、当プログラムにおいては何らかの処理が為されない限り、取得ユニット以降のユニットは全て「保有時」に該当してしまいますので、従来どおり、取得ユニットにおいて26行目の資本調達額の欄に取得単価×取得個数をマイナスの値で表記します。

企業会計基準適用指針第17 号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理

(保有時の会計処理)

14. 自己新株予約権の帳簿価額が、対応する新株予約権の帳簿価額を超える場合において、当該自己新株予約権の時価が著しく下落し、回復する見込みがあると認められないときは、時価との差額(ただし、自己新株予約権の時価が対応する新株予約権の帳簿価額を下回るときは、当該自己新株予約権の帳簿価額と当該新株予約権の帳簿価額との差額)を当期の損失として処理する。また、自己新株予約権が処分されないものと認められるときは、当該自己新株予約権の帳簿価額と対応する新株予約権の帳簿価額との差額を当期の損失として処理する。

分解して頭を整理していくことにします。

「自己新株予約権の帳簿価額が、対応する新株予約権の帳簿価額を超える場合において」

「自己新株予約権の帳簿価額」を取得単価、「対応する新株予約権の帳簿価額」を発行価額に読み替えて、if 取得単価 > 発行価格 then という判断を行います。これだと評価が複数回行われるときには、本来書き換えられているはずの「帳簿価格」を反映しないことになるので、以前に評価を行っている場合にはその差額を差し引くこととします。

「当該自己新株予約権の時価が著しく下落し、回復する見込みがあると認められないときは」

「回復する見込み」については何とも判断しようがないのでomitし、前者に的を絞って考えます。「当該自己新株予約権の時価が著しく下落し」たときとは、当プログラム上ではどんな場合が考えられるでしょうか。発行した予約権を処理するアクションは、譲渡、取得、処分、消却、権利行使の4つがありますが、権利行使は目的株式と引き換えに消滅してしまうので関係なく、「取得、処分、消却」については既に会計処理をプログラム済みです。残るは「譲渡」のみとなるので、譲渡ユニットの挿入をイベント発生のトリガーとします。譲渡単価を予約権と「時価」と見做すわけです。

  1. 譲渡ユニットの挿入時、自己新株予約権の存在を確認する。
  2. 自己新株予約権が存在したら、その取得ユニットを検索する。
  3. 取得単価を確認して譲渡単価と比較する。
  4. 「著しく下落したとき」とあるので、譲渡単価が取得単価×0.5未満であるかを確認する。

上記4.がTrueであった場合、差額を計算しなければなりません。

「時価との差額(ただし、自己新株予約権の時価が、対応する新株予約権の帳簿価額を下回るとき
は、当該自己新株予約権の帳簿価額と当該新株予約権の帳簿価額との差額)を当期の損失として処理する」

  1. 単なる「時価との差額」は、譲渡単価 – 取得単価ですね。
  2. 格好の部分については、if 譲渡単価 < 発行価額 then
  3. 差額 =発行価額 – 取得単価

「対応する新株予約権の帳簿価額」とは発行価額のことと思われますが、無償で発行されることが多いので、大抵の場合は譲渡単価(=時価)を下回っていると思われます。従って、この括弧の中のイベントが発生することはあまりないでしょう。

まとめると、新株予約権の譲渡があったとき、発行価額よりも高い価格で取得した当該予約権の自己持分について、その譲渡単価(=時価)が自己新株予約権の取得単価×0.5未満であった場合を「著しく下落したとき」と認識し、差額(譲渡単価 – 取得単価)を当期損益として処理する。但し、譲渡単価が予約権の発行価額未満であった場合には、取得単価 – 発行価額を差額とする。


…という感じでしょうか。

FAQsのpageを設けました。「Frequently Asked Questions」(頻繁に寄せられる質問)というよりは、プログラムの動作や使用に関する、やや細かい部分の説明みたいな内容になっています。このプログラム希薄化防止条項種類株式の転換などといった、ちょっとばかりややこしい仕様を備えているので、挿入されたユニットの数値だけを見てもやや分りにくい部分が多いため、それらに対する解説といった性格のページです。

使ってみて、よく分らない個所があればコメントやメールをいただければ幸いです。

theme変更

長らくwpの更新を怠っていたので2.2.1にアップデートしたついでに、テーマも変えてみました。Theme Viewerで見つけたWinterday-10というthemeです。

ところで、CSSを少し弄ろうとしたときに、theme editorに「update File >>」ボタンが表示されないのはバグなのでしょうか。仕方がないので、ローカルにあるファイルを変更してアップしたんですが、ちょっと面倒くさかったです。

ExcelのPatch

こんなのがいきなり出てましたけど。

Microsoft Security Bulletin MS07-036 – Critical
Vulnerabilities in Microsoft Excel Could Allow Remote Code Execution (936542)

This critical update resolves one publicly disclosed vulnerability and two privately reported vulnerabilities in addition to other security issues identified during the course of the investigation. These vulnerabilities could allow remote code execution if a user opens a specially crafted Excel file. Users whose accounts are configured to have fewer user rights on the system could be less impacted than users who operate with administrative user rights.

This is a critical security update for supported editions of Microsoft Office 2000. For supported editions of Microsoft Office XP, Microsoft Office 2003, 2007 Microsoft Office System, this update is rated important. This update is also rated important for the Excel Viewer 2003, Office Compatibility Pack for Word, Excel, and PowerPoint 2007 File Formats. For more information, see the subsection, Affected and Non-Affected Software, in this section.

「critical」という言葉が何度も使われており、かなり緊急性の高い性質のようですけど。「Microsoft recommends that customers apply the update immediately.」(ユーザーの皆様におかれましては、今すぐアップデートされることをお勧めします。)って…。既に公になっている問題点1つと、調査によって私的に報告された問題点2つを解決した、となっていますが、何故、公になっている方はさっさと始末しておかなかったんですかね。月に一回しか更新しないからですか?

ユーザーが特別に作成されたファイルを開いたとき、遠隔操作を可能にする脆弱性と説明されていますが、「特別に作成されたファイル」って何のことですかね。素人が適当に訳したので、技術的には間違っているかもしれませんが。対象となるアプリケーションは上にも列挙されていますが、引用したページに一覧表があるので、そちらのほうが分りやすいです。

SEOのコンサルティング等を手がける㈱フルスピードという会社が東証マザースに上場するようで。SEOというのは、詳しい方々の間でいつも激論が戦わされているアツい分野というイメージがあるのですが、この会社についても毀誉褒貶が激しいようです。私は門外漢なのでさっぱりですが、良い評判はこことかここ、あんまり良くないものはこここことかで色々と取り沙汰されているようです。

半期報告書による近年の業績推移は以下のような具合。

H17/7期(連結) 売上高576百万円 経常利益160百万円 当期利益89百万円
H18/7期(単体) 売上高1,759百万円 経常利益346百万円 当期利益197百万円
H19/1中間期(連結) 売上高 2,009百万円 経常利益307百万円 当期利益169百万円

急成長してますね。H19/1中間期の数値はH18/7期を上回っています。H18/7期だけ単体なのは、H17/7/1付けで連結対象子会社を吸収合併したことによる模様で、H17/7期決算において連結調整勘定を一括償却しています。

H19/1中間期の売上の内訳は、SEOコンサル483百万円、リスティング広告1,101百万円、その他の広告166百万円、インターネットメディア事業258百万円となっており、リスティング広告の比率が高いようですが、H17/7期を見てみるとSEOコンサル178百万円に対してリスティング広告は26百万円しかなく、前期より急激に伸ばしてきた事業のようです。Googleのアドワーズとオーバーチュアのスポンサードサーチが対象と書いてあります。所謂、検索連動型広告というやつですね。

このリスティング広告に関して、報告書には「当社は、[クリック単価×クリック回数]を基準に計算される利用料をクライアントから取得し(総額を売上に計上しております)、この金額から一定料率の代理店手数料を控除した金額を広告枠利用料としてオーバーチュア株式会社又はGoogle Inc.に支払っております。」とあるので、代理店手数料が本来の意味での売上なのでしょうが、ここでは粗利という扱いになっています。要は「オーバーチュア株式会社又はGoogle Inc.」が販売する広告の「利用料」の一部を、仲介しているフルスピードが手数料として取っているわけですね。

ちょっと他社比較をしてみましょうか。

フルスピード H19/1中間期(連結) 売上高 2,009百万円 経常利益307百万円 当期利益169百万円
アイレップ H19/3中間期(単体) 売上高 3,860百万円 経常利益173百万円 当期利益99百万円
アウンコンサルティング H18/11中間期(単体) 売上高 2,470百万円 経常利益317百万円 当期利益175百万円

フルスピードの成長速度が速いので、各社とも中間決算を比較してみました。フルスピードとアウンコンサルティングは同じような感じですが、アイレップの利益率がやや見劣りしますね。アイレップは「シニアマーケティング事業」として「有料老人ホーム紹介業と介護施設向け人材紹介業」を営んでいるそうですが、売上高は41百万円しかないので、この部門の利益率が他に比して低かったとしても影響はそう大きくはなさそうです。但し、この部門が赤字であれば話はまったく別ですが。

因みにアイレップの報告書にはオーバーチュアやGoogleに対する「仕入実績」3,120百万円が載っているので、リスティング広告の「販売実績」3,537百万円からこれを差し引いて、その売上高で除算すると粗利率は11.79%となります。なんだか棚卸資産と原価を混同しているみたいですが、事業の性格上、ユーザーがクリックした時点で売上と原価が同時に発生するものと仮定して強引に計算してみました。勿論、仕入先から包括的に前受金のような形で受け取っている場合には当て嵌まりません。

アウンコンサルティングにも同じような数値が記載されており、P4P(検索連動型広告とコンテンツ連動型広告のことらしいです)の「販売実績」が2,224百万円、「仕入実績」が1,800百万円ですから、こちらは19.08%となります。むむ、両社の間には2倍弱の開きがありますね。ここからこの商売の利益率が掴めるかと思ったのですが。尤もアイレップの方は検索連動型広告のみ、アウンコンサルティングの方はコンテンツ連動型広告を含んでいますから、単純比較出来ないのは最初から分りきっていたことなのですが。

肝心のフルスピードの報告書には「仕入実績」が載っていないのですが、代わりに「クライアント数」が報告されているので、平均単価は分りそうです。SEOコンサル部門の売上483百万円を「クライアント数(キーワード単位)」718件で割ると526千円となりますね。また、リスティング広告については1,101百万円を「クライアント数(サイト単位)」227件で除算すると2,840千円となります。これが業界の相場と比べてどうなのかは知らないのですが、少なくとも前者については下記のサイトさんの仰っている金額に近い数値のようですので、案件の価格としては的外れでもなさそうです。

フルスピード、8月2日マザーズ上場へ

被リンク型SEOをかなり売っています(自分が営業を受けたときは1リンク50万/月くらい)が、Googleが被リンク販売業者の通報制度を始めたこと。(未だやっているみたいですが、いつか出来なくなると思います。)

資本政策についてですが、業績の伸張に伴ってか、時系列で見ると10,000円→15,000円→157,000円→300,000円と、見事に株価が急上昇しています。いずれの株価も類似会社比準方式によって決定したと書いてありますが、アイレップとアウンコンサルティングの2社を見る限りでは、株価の推移は逆方向であったようです。どこを類似会社にしたのかまでは分りませんが。

H17/7期中に役職員向けに増資したときの価格10,000円と15,000円は、当時(H16/7期決算数値)のBPS295千円に比較して非常に割安なものとなっています。対して、翌H18/7期中においては157,000円と300,000円でVC向け増資と新株予約権の発行を行っていますが、H17/7期末のBPSは14,000円程度です。要するに、身内に割り当てるときは1株当り純資産の1/20~1/30の値段で増資して、VCには10~20倍の価格で発行したわけですね、よくある話ですね、まぁ取引所が問題としないのなら別にいいでしょ(棒読みw)。報告書に記載されている想定公開価格510,000円からざっくりIRRを計算してみると、平成17年の9月に157千円で買った人でも65.36%、平成18年3月に300千円で買った人でも33.12%で回るようなので、VCも文句はないでしょう(IRRの計算は半年間のロックアップを加味しています)。

株主名簿には役職員の他に、JAFCO、JAIC、みずほ、MUFG、あおぞら、SBI等の有名VCや、GMO、CA、インタースペース、ドリコムといったIT企業の名前が並んでおりました。

(会社の)手取概算額は930百万円ですが、このうち使い道がハッキリしているのは337百万円だけで、残りの593百万円については、将来的に開発投資や買収や本社移転費用に使うかもしれないけど、現時点では「具体的な計画はない」との事です。手取りの2/3ものお金の使い道が分らないなんて、何を目的としてIPOするのでしょうか。公開価格が従来の想定よりも大幅に上回ってしまい、嬉しい誤算として使い道が決まっていない、というのであれば分らないでもないですが、そうであるなら510,000円の1/3程度の価格を想定していた筈で、それは前期中に実施した増資の際の発行価額300,000円を下回りますから、まずそれはないと思って良いでしょう。

Ver 6.06 を公開しました。

  • タイトル・ユニット挿入時に「実行時エラー’1004 アプリケーション定義オブジェクト定義のエラーです」というメッセージが表示される不具合を修正しました。
  • 株式公開ユニットを含むユニット結合を行ったときでも正しく公開価格が計算し直されるよう修正しました。
  • 種類株式あるいは潜在株式を含むユニットが正しく挿入されないことがある点を修正しました。

新しいプログラムは「1-2.DOWNLOAD」のページからダウンロードしてください。アーカイブ解凍後、ExcelにおいてVer 6.05以前のアドイン登録を解除し、新たにVer 6.06(Fncpln_CmL_606.xla)をアドイン登録すればOKです。

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(3855)という、中国でオンラインゲームを提供している英領ケイマン諸島の会社が、日本の大証ヘラクレスに上場するという微妙なことが行われているようですね。しかも株主は全員VCとか。

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(FC0438)有価証券届出書
当社グループは、音楽シミュレーションゲームである「O2Jam(勁楽団)」及び「Burst A Fever(超級楽者)」、ダンスシミュレーションゲームである「Audition(勁舞団)」及び「Super Dancer Online(超級舞者)」などのコンテンツをカジュアルゲーム市場に提供しております。

よく分りませんが、DDRみたいなゲームなんですかねえ。タイトル数もそれなりに揃っているようですが、ググってみるととんでもない情報が。

中国企業 ナインユー 大証ヘラクレスに上場!?

この会社、実はあまりよい噂を聞かない企業だったりします。
例えば、Auditionのパクリ作品として超級舞者(Super Dancer Online)を開発していたり、O2JAMのパクリで超級楽者(BURST A FEVER)、カートライダーのパクリでクレイジーライダーを開発していたりしています。
手口も酷く、他社ゲームのライセンス獲得>顧客をつける>勝手にそのゲームをパクッたゲームを発表>顧客を自社開発に流す>ウマーといった具合。
こんな盗作問題バンバンの会社が日本市場で上場―日本支社をつくったり―した場合・・・にはどう考えても法的リスクがでかすぎるような気がします。

あらら、そうなんですか。ライセンサーは、なぜ訴えもせずライセンス提供を継続してるんでしょうか。中国ってそういうとこ鷹揚なのか、「中国ゲーム会社ベスト10」やら「中国クールカンパニー」やらに選ばれているそうです。別のblogでも同じ内容で非難されていました。どうやら韓国や中国の動向に詳しいゲーマーさんの間では有名な話のようですね。

久遊網(9you)が韓国事務所設立 盗作論争は必須

「久遊網(9you)」は、音楽ダンスゲームの「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」を盗作した作品で、本家の韓国で展開しようと言うのですから凄いことです。
もっと凄いのは、「久遊網(9you)」は、「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」の正式な運営会社でありながら、自主開発品と称して盗作していることです。

「O2JAM」の場合は、「ゲームの完成度が低いため新作を作る」と勝手に発表して、「O2JAM2」としてサービスしようとしましたが、さすがに反発が強く名称だけは変更しました。 もちろんゲームシステムは盗用したままです。 他には、韓国No,1のレースゲーム「カートライダー」を盗作した「クレイジーライダー」などがあります。

今まで日本のゲームを盗用してきた韓国に対して、中国No,1の悪質な盗用運営会社が殴りこみをかける事になります。 盗用論争が起きることは100%間違いないでしょう。

中国 パクったゲームで北米展開

北米展開するのは「Audition」をパクった「超級舞者(Super Dancer Online)」と「O2JAM」をパクった「超級楽者(Burst A Fever)」の2つです。
この「久遊網(9you)」はあくまでも自社開発品としていますが”盗用”です。
韓国産ダンス・音楽ゲームの版権を獲得し、そっくりなゲームを作っている会社です。
まぁある意味”中国を象徴している”ような会社です。

ゲームを愛する方の正義感と憤りは分りますが、届出書を見る限り、残念ながら盗用に関する訴訟等の記述は見当たりません。勿論、この先は分りませんが。しかし、当然ながら開発元は怒っているようで、続編であるAudition2も、3も第九城市(The9)という別の会社にライセンスすることが決まっているようですから、今のライセンスが来年の7月22日に切れてしまい、契約更新が為されないならば、7割を占めているというAuditionの売上は大幅に減るかもしれません。しかし、子会社情報を見る限り利益にはあまり貢献していないようですし、提供しているゲームはこれだけではありませんから、これだけで何かを判断することは出来ませんが。

この会社、連結決算を見てみると、前々期(H15/12)は854百万円の売上に対して649百万円の経常損失だったのに、前期(H16/12)には売上高6,929百万円、経常利益2,149百万円と急成長。まだ設立3年目ですよ?

一方、単独では売上高1,080百万円、経常損失284百万円と冴えません。これは提出会社が持株会社だから? 届出書を見る限り、5つある連結対象子会社のうち、9uが自社開発ゲームの開発・運営、上海潤星が他社あるいは9uからライセンスを受けたゲームの配信と運営、後はIRのための日本現地法人と清算中の2社、といったところのようで、それらを管理・監督するのが提出会社であるナインユー・インターナショナル・リミテッドと記載されています(国外ゲーム企業に対してはライセンシー)。

要は9uと上海潤星が要のようですね。前者の売上は4,102百万円、経常利益2,357百万円、後者は売上高6,842百万円、経常利益74百万円(当期利益は238百万円)といった具合。利益率に大分開きがあるようで、運営自体は大して儲からない、ということでしようか。

Audition 結局、本物にはかなわない

そっくりなゲームを両方運営すると言う暴挙を平気で出来ることがさすが中国人だと思いますが、自社開発した「超級舞者(Super Dancer Online)」の人気はいまいちのようです。
(中略)
それに対して「Audition」は、中国の最高同時接続者数が73万人を突破し、人気は未だに上昇しています。 特にゲームの人気以外でも女性ユーザーが多いため、”出会い系”ゲームとしての人気も高く今後も人気が衰えることはないでしょう。
(中略)
今までに発表されている最高同時接続者数と登録会員数は、
韓国:最高同時接続者数:3万人、会員登録者数:400万人
中国:最高同時接続者数:73万人、会員登録者数:7,000万人
台湾:最高同時接続者数:4万5,000人、会員登録者数:300万人
ベトナム:最高同時接続者数11万人、会員登録者数:320万人
タイ:最高同時接続者数:3万人

このblog主さんが言うには、オリジナルであるAuditionが世界的にヒットしているのに対して、猿真似である「『超級舞者(Super Dancer Online)』の人気はいまいち」ということなんですが、先程見た通り、開発である9uが大変儲かっていたのに対して、運営主体の上海潤星は利益率が低いのは、ライセンス料(Revenue Share)がちゃんと開発した人へお金が流れていく仕組みになっているのではないかと想像するわけですが、だとすればAuditionに勝っているかどうかは別として、「超級舞者」だって結構な利益を上げているわけですから、ちゃんと成功しているということになりますよね、41カ国でサービスを提供しているそうですし。

それにしても中国の市場規模は桁が違いますね、凄すぎる。Auditionの開発元が表立って訴訟に踏み切らないのは、ライセンス収入がたっぷり入ってくるのでコトを荒立てるのは止めとこう、どうせライセンス期間は来夏までなんだし、という判断があるのかもしれません。

グループの中で最初に設立されたのは上海潤星は、連結対象とは言え提出会社と資本関係はなく、王子傑CEOの親族らが保有する企業のようです。その理由はと言うと、届出書によれば、中国国内でオンラインゲームの配信や運営を行うには「ICPライセンス」というものが必要で、これを取得しているのが上海潤星みたいなんですが、外国資本が「ICPライセンス」取得企業に投資することについては規制があるようです(50%未満)。加えて、ゲーム運営には「インターネット文化経営許可証」というものも必要で、こっちの方は外国投資家の出資が完全に禁止されていることから、直接出資することが出来ず、その代わりに「提携契約関係」を結んでいるとの事です。

しかし、元々は中国の人が中国で作った会社なんだから、わざわざ外国に会社を設立して国内の規制に四苦八苦しているのはなんとも不自然ですね。まぁ、いろいろと事情があるのは想像に難くないですが。因みに、日本の大証ヘラクレスに上場するのは、日本でゲームを展開するためではありません。主力のAuditionは既にNexonによって(あるいはその前から)サービスが提供されているようですから。「超級楽者」の方を日本でも普及させようとしているという可能性は…先行しているAuditionが不振なのですから低いでしょう。

それから、どこまで信頼できるものなのかはさっぱりですが、中国国内でのインターネットやオンラインゲーム市場に関する統計データが添付されているのは参考になりますね。それによると、中国のISP市場は$8.6bil、ユーザー数は112.6百万人だそうです。それでも「11人に1人」の利用割合だから、更なる増加が見込まれる、との事。1人当たりに直すと$76.37ですから9,000円強ということになりますが、アクセス費用としてはまだまだ高いと言えますね、日本に比べて。

オンラインゲームのユーザー数は2006年で45百万人、うちMMORPGが30百万人、カジュアルゲームが24百万人、とあります。ユーザー数こそ両者の数はそれほどの差がないのに対して、これを金額で比較すると58億人民元 : 14億人民元と、大きく開きが出てしまうのは、タイトル数や課金方法等が影響しているからでしょうか。

※追記1

Incoming Linkされたこちらの方のエントリで知りましたが、Auditionの開発元がライセンス料の不払いで9uを訴えたらしいですね。このタイミングで訴訟を起こすのは、太らせてから金を取ろうという作戦か、あるいは嫌がらせか。ライセンスの更新も行わないと言っている模様です。

上にも書いたとおり、上海潤星の業務が他社ゲームの運営であったとすると、9uに比べて利益率が低いということは、その分費用が多い、つまりライセンス料をきちんと払っているものと思っていたのですが。自社開発部門と思われる9uはきちんと稼いでいるようですが、製品がゲーマーさん達の間で言われている通りバクリであるなら、続いて著作権問題関連の訴訟が起こる可能性も捨てきれず、そのような事態になれば影響は大きいかも知れません。

※追記2

で、結局、上場延期ですか(笑)

※追記3

もう和解したようですが…?

何とか和解

礼堂オンラインは今度契約を通じて九城と2年間最小売上げ3820万ドルに全体売上げの30%をロイヤルティに受ける条件で契約を結んだ

先月あたりに上場予定だった九城は同作品のロイヤリティ不払いで開発元からアップデートを今後しないとの通告を受けていた。
その後、両社の契約は何とかまとまったようだ。九城は上場、各国のブランドタイトルを抑える、中国名うての運営会社などと持ち上げられてはいるものの、その実情は…

「九城は上場」と書いてありますが、再申請の運びとなるのでしょうか。