中国のゲーム会社が日本で上場?

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(3855)という、中国でオンラインゲームを提供している英領ケイマン諸島の会社が、日本の大証ヘラクレスに上場するという微妙なことが行われているようですね。しかも株主は全員VCとか。

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(FC0438)有価証券届出書
当社グループは、音楽シミュレーションゲームである「O2Jam(勁楽団)」及び「Burst A Fever(超級楽者)」、ダンスシミュレーションゲームである「Audition(勁舞団)」及び「Super Dancer Online(超級舞者)」などのコンテンツをカジュアルゲーム市場に提供しております。

よく分りませんが、DDRみたいなゲームなんですかねえ。タイトル数もそれなりに揃っているようですが、ググってみるととんでもない情報が。

中国企業 ナインユー 大証ヘラクレスに上場!?

この会社、実はあまりよい噂を聞かない企業だったりします。
例えば、Auditionのパクリ作品として超級舞者(Super Dancer Online)を開発していたり、O2JAMのパクリで超級楽者(BURST A FEVER)、カートライダーのパクリでクレイジーライダーを開発していたりしています。
手口も酷く、他社ゲームのライセンス獲得>顧客をつける>勝手にそのゲームをパクッたゲームを発表>顧客を自社開発に流す>ウマーといった具合。
こんな盗作問題バンバンの会社が日本市場で上場―日本支社をつくったり―した場合・・・にはどう考えても法的リスクがでかすぎるような気がします。

あらら、そうなんですか。ライセンサーは、なぜ訴えもせずライセンス提供を継続してるんでしょうか。中国ってそういうとこ鷹揚なのか、「中国ゲーム会社ベスト10」やら「中国クールカンパニー」やらに選ばれているそうです。別のblogでも同じ内容で非難されていました。どうやら韓国や中国の動向に詳しいゲーマーさんの間では有名な話のようですね。

久遊網(9you)が韓国事務所設立 盗作論争は必須

「久遊網(9you)」は、音楽ダンスゲームの「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」を盗作した作品で、本家の韓国で展開しようと言うのですから凄いことです。
もっと凄いのは、「久遊網(9you)」は、「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」の正式な運営会社でありながら、自主開発品と称して盗作していることです。

「O2JAM」の場合は、「ゲームの完成度が低いため新作を作る」と勝手に発表して、「O2JAM2」としてサービスしようとしましたが、さすがに反発が強く名称だけは変更しました。 もちろんゲームシステムは盗用したままです。 他には、韓国No,1のレースゲーム「カートライダー」を盗作した「クレイジーライダー」などがあります。

今まで日本のゲームを盗用してきた韓国に対して、中国No,1の悪質な盗用運営会社が殴りこみをかける事になります。 盗用論争が起きることは100%間違いないでしょう。

中国 パクったゲームで北米展開

北米展開するのは「Audition」をパクった「超級舞者(Super Dancer Online)」と「O2JAM」をパクった「超級楽者(Burst A Fever)」の2つです。
この「久遊網(9you)」はあくまでも自社開発品としていますが”盗用”です。
韓国産ダンス・音楽ゲームの版権を獲得し、そっくりなゲームを作っている会社です。
まぁある意味”中国を象徴している”ような会社です。

ゲームを愛する方の正義感と憤りは分りますが、届出書を見る限り、残念ながら盗用に関する訴訟等の記述は見当たりません。勿論、この先は分りませんが。しかし、当然ながら開発元は怒っているようで、続編であるAudition2も、3も第九城市(The9)という別の会社にライセンスすることが決まっているようですから、今のライセンスが来年の7月22日に切れてしまい、契約更新が為されないならば、7割を占めているというAuditionの売上は大幅に減るかもしれません。しかし、子会社情報を見る限り利益にはあまり貢献していないようですし、提供しているゲームはこれだけではありませんから、これだけで何かを判断することは出来ませんが。

この会社、連結決算を見てみると、前々期(H15/12)は854百万円の売上に対して649百万円の経常損失だったのに、前期(H16/12)には売上高6,929百万円、経常利益2,149百万円と急成長。まだ設立3年目ですよ?

一方、単独では売上高1,080百万円、経常損失284百万円と冴えません。これは提出会社が持株会社だから? 届出書を見る限り、5つある連結対象子会社のうち、9uが自社開発ゲームの開発・運営、上海潤星が他社あるいは9uからライセンスを受けたゲームの配信と運営、後はIRのための日本現地法人と清算中の2社、といったところのようで、それらを管理・監督するのが提出会社であるナインユー・インターナショナル・リミテッドと記載されています(国外ゲーム企業に対してはライセンシー)。

要は9uと上海潤星が要のようですね。前者の売上は4,102百万円、経常利益2,357百万円、後者は売上高6,842百万円、経常利益74百万円(当期利益は238百万円)といった具合。利益率に大分開きがあるようで、運営自体は大して儲からない、ということでしようか。

Audition 結局、本物にはかなわない

そっくりなゲームを両方運営すると言う暴挙を平気で出来ることがさすが中国人だと思いますが、自社開発した「超級舞者(Super Dancer Online)」の人気はいまいちのようです。
(中略)
それに対して「Audition」は、中国の最高同時接続者数が73万人を突破し、人気は未だに上昇しています。 特にゲームの人気以外でも女性ユーザーが多いため、”出会い系”ゲームとしての人気も高く今後も人気が衰えることはないでしょう。
(中略)
今までに発表されている最高同時接続者数と登録会員数は、
韓国:最高同時接続者数:3万人、会員登録者数:400万人
中国:最高同時接続者数:73万人、会員登録者数:7,000万人
台湾:最高同時接続者数:4万5,000人、会員登録者数:300万人
ベトナム:最高同時接続者数11万人、会員登録者数:320万人
タイ:最高同時接続者数:3万人

このblog主さんが言うには、オリジナルであるAuditionが世界的にヒットしているのに対して、猿真似である「『超級舞者(Super Dancer Online)』の人気はいまいち」ということなんですが、先程見た通り、開発である9uが大変儲かっていたのに対して、運営主体の上海潤星は利益率が低いのは、ライセンス料(Revenue Share)がちゃんと開発した人へお金が流れていく仕組みになっているのではないかと想像するわけですが、だとすればAuditionに勝っているかどうかは別として、「超級舞者」だって結構な利益を上げているわけですから、ちゃんと成功しているということになりますよね、41カ国でサービスを提供しているそうですし。

それにしても中国の市場規模は桁が違いますね、凄すぎる。Auditionの開発元が表立って訴訟に踏み切らないのは、ライセンス収入がたっぷり入ってくるのでコトを荒立てるのは止めとこう、どうせライセンス期間は来夏までなんだし、という判断があるのかもしれません。

グループの中で最初に設立されたのは上海潤星は、連結対象とは言え提出会社と資本関係はなく、王子傑CEOの親族らが保有する企業のようです。その理由はと言うと、届出書によれば、中国国内でオンラインゲームの配信や運営を行うには「ICPライセンス」というものが必要で、これを取得しているのが上海潤星みたいなんですが、外国資本が「ICPライセンス」取得企業に投資することについては規制があるようです(50%未満)。加えて、ゲーム運営には「インターネット文化経営許可証」というものも必要で、こっちの方は外国投資家の出資が完全に禁止されていることから、直接出資することが出来ず、その代わりに「提携契約関係」を結んでいるとの事です。

しかし、元々は中国の人が中国で作った会社なんだから、わざわざ外国に会社を設立して国内の規制に四苦八苦しているのはなんとも不自然ですね。まぁ、いろいろと事情があるのは想像に難くないですが。因みに、日本の大証ヘラクレスに上場するのは、日本でゲームを展開するためではありません。主力のAuditionは既にNexonによって(あるいはその前から)サービスが提供されているようですから。「超級楽者」の方を日本でも普及させようとしているという可能性は…先行しているAuditionが不振なのですから低いでしょう。

それから、どこまで信頼できるものなのかはさっぱりですが、中国国内でのインターネットやオンラインゲーム市場に関する統計データが添付されているのは参考になりますね。それによると、中国のISP市場は$8.6bil、ユーザー数は112.6百万人だそうです。それでも「11人に1人」の利用割合だから、更なる増加が見込まれる、との事。1人当たりに直すと$76.37ですから9,000円強ということになりますが、アクセス費用としてはまだまだ高いと言えますね、日本に比べて。

オンラインゲームのユーザー数は2006年で45百万人、うちMMORPGが30百万人、カジュアルゲームが24百万人、とあります。ユーザー数こそ両者の数はそれほどの差がないのに対して、これを金額で比較すると58億人民元 : 14億人民元と、大きく開きが出てしまうのは、タイトル数や課金方法等が影響しているからでしょうか。

※追記1

Incoming Linkされたこちらの方のエントリで知りましたが、Auditionの開発元がライセンス料の不払いで9uを訴えたらしいですね。このタイミングで訴訟を起こすのは、太らせてから金を取ろうという作戦か、あるいは嫌がらせか。ライセンスの更新も行わないと言っている模様です。

上にも書いたとおり、上海潤星の業務が他社ゲームの運営であったとすると、9uに比べて利益率が低いということは、その分費用が多い、つまりライセンス料をきちんと払っているものと思っていたのですが。自社開発部門と思われる9uはきちんと稼いでいるようですが、製品がゲーマーさん達の間で言われている通りバクリであるなら、続いて著作権問題関連の訴訟が起こる可能性も捨てきれず、そのような事態になれば影響は大きいかも知れません。

※追記2

で、結局、上場延期ですか(笑)

※追記3

もう和解したようですが…?

何とか和解

礼堂オンラインは今度契約を通じて九城と2年間最小売上げ3820万ドルに全体売上げの30%をロイヤルティに受ける条件で契約を結んだ

先月あたりに上場予定だった九城は同作品のロイヤリティ不払いで開発元からアップデートを今後しないとの通告を受けていた。
その後、両社の契約は何とかまとまったようだ。九城は上場、各国のブランドタイトルを抑える、中国名うての運営会社などと持ち上げられてはいるものの、その実情は…

「九城は上場」と書いてありますが、再申請の運びとなるのでしょうか。




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