新株予約権付社債の会計処理について

新株予約権付社債の会計処理は、転換社債型である場合には一括法と区分法という2つの方法があり、非転換社債型については区分法に準じるものとされています。

当プログラムにおいては転換社債型であるないに拘らず、すべて区分法を採用しています。

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18. 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額は、次のいずれかの方法により会計
処理する。
(2) 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額を、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理(第4 項参照)に準じて処理する(区分法)。

21. 転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(以下「その他の新株予約権付社債」という。)の発行に伴う払込金額は、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理に準じて処理する(第4 項参照)(区分法)。

内容は同じですね。従って、発行ユニットにおいては予約権の発行価額×予約権個数で求められた額が、26行目の資本調達額の欄に自動的にマイナス表示されます。

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19. 転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権が行使されたときの会計処理は次のように行う。
(1) 新株を発行する場合
新株予約権が行使され、新株を発行する場合において、(中略)発行時に区分法を採用しているときは、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額を、資本金又は資本金及び資本準備金に振り替える。

転換社債型新株予約権付社債の場合には、社債の対価部分は新株予約権の行使に伴う払込金額(会社法第236 条第1 項第2 号)(当プログラムでは「行使総額(行使価額×行使株数)」)と一致するよう予め設計されていますので、と言うかそれを転換社債型と呼ぶのですけど、権利行使ユニットにおいて、行使される予約権個数に対応する行使総額と予約権発行価額を、発行時に設定した組み入れ比率に応じて、前ユニットの資本金及び資本準備金の額に加算します。但し、予約権発行価額については発行時、既に純資産額に加えられていますので、26行目の資本調達額は行使総額のみとなります。

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(2) 自己株式を処分する場合

新株予約権が行使され、自己株式を処分する場合の自己株式処分差額の会計処理は、自己株式を募集株式の発行等の手続により処分する場合に準じて取り扱う(自己株式等会計基準第9 項、第10 項及び第12 項)。
自己株式処分差額を計算する際の自己株式の処分の対価については、(中略)発行時に区分法を採用している場合は、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額とする。

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自己株式の処分
9. 自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10. 自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額し、減額しきれない場合は、その他利益
剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
自己株式の消却
12. 自己株式を消却した場合、減額するその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)については、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた結果に従い、消却手続が完了したときに会計処理する。

権利行使の際に充当される自己持分は勿論株式です。従って計算は純資産の中だけで完結し、予約権の消却等の場合のように当期の損益として処理されるわけではありません。要するに当プログラムにおいては26行目で処理されるということです。

社債の対価部分は先程と同様に(行使価額 – 取得価額)×処分株式数でいいでしょう。予約権部分については、当プログラムに「その他資本剰余金」項目は存在せず、純資産の部の増減を26行目に表示するだけですから、ここでこれを加えると発行時に加算した金額とダブってしまいます。従って資本金と資本準備金に加算するのみとします。

※自己株式処分差益については、これまで特に計算していませんでしたが、それは権利行使によって払い込まれる金額をそのまま純資産に加算すれば、結局は今までマイナス計上していた自己株式がプラスに転じるので結果は同じだからです。

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その他の新株予約権付社債の場合(発行者側の会計処理)

21. (略)
また、新株予約権が行使されたときの会計処理については、転換社債型新株予約権付社
債の発行時に区分法を採用している場合に準じて処理する(第19 項参照)。

転換社債型でない新株予約権付社債の場合には、転換社債型が区分法を採用しているときと同じにすれば良いのですが、ひとつ問題があります。それは先程、「行使総額」と同じと見做して処理した社債の対価部分(帳簿価額)で、非転換社債型の場合には両者が一致するとは限りません。その場合に社債部分の対価を資本の部に加算してよいものかどうかについてはハッキリしません。取り敢えずは応急処置として転換社債型と同じ処理を施しています。




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