有利発行とは、本来よりも有利な条件で株式等が発行される場合をいいますが、本プログラムでは価格が有利である場合を指しています。

具体的には、発行する株式の払込金額が時価よりも低い場合、種類株式の転換価額が普通株式の時価未満である場合、新株予約権の行使価額が目的株式の時価よりも低い場合などです。いずれも特殊なケースですので、通常はユーザーが意識する必要はありませんが、特にそのような資本政策を行いたい場合のためにチェックボックスを設け、チェックを入れると時価を入力する欄が開くようになっています。

(株主割当増資の場合には、既存株主に対してその持ち分に応じた割り当てが行われるので、払込金額が時価未満でも株主が不利益を蒙る可能性がないので、このようなことが行われやすいといえます。また無償割当の場合には必然的に有利な払込金額(タダ)となりますね。)

有利発行は当該有価証券に希薄化をもたらしますので、それを目的株式とする新株予約権や種類株式がすでに発行されていた場合には、その行使価額あるいは転換価額がMarket Price方式で自動的に修正されるようプログラムされています。

  • 有利な価格で普通株式を発行する場合

    時価50,000円である普通株式を、何らかの理由により40,000円で発行するとします。
    払込金額に40000を入力したのち、「有利発行」チェックボックスにチェックを入れると、普通株式の時価を入力するボックスが開くので、そこに50000と入力します。

    これによって普通株式に希薄化が生じますので、普通株式を目的とする新株予約権が発行されていた場合には、希薄化防止条項が働き、予約権の行使価額を自動的に修正します。
    例えば、行使価額50,000円で2,000株分の新株予約権が発行されていた場合、その行使価額は41,666.66円に修正されます(有利に発行された株式は10,000株であったとします)。ワークシートに挿入されたユニットの「備考」欄にその旨が表示されます。


  • 有利な転換価額で種類株式を発行する場合

    本プログラムでは、全ての種類株式に普通株式への転換権が付されているとの前提を採っています(資本政策案を作成する上で、そのような条件が加味したくない場合には転換を行わなければいいだけのことです。この場合でも転換価額の入力は必要となりますが、払込金額と同じ価格を入力しておいてください)。

    さて、転換価額は種類株式発行時点における普通株式の時価に他なりませんから、転換価額が有利である場合とは、それが普通株式の時価未満であるときです。普通株式の時価が50,000円であるところ、ある種類株式の払込金額が60,000円、転換価額は40,000円であったとします。種類株式にはプレミアムが生じている一方、その転換価額は有利に設定されていることになります。

    このケースでは、希薄化が生じているのは普通株式ですから、普通株式の有利発行と同様に、普通株式を目的とする新株予約権が発行されていた場合には、その行使価額が修正されます。

    また、ここでは種類株式の払込金額は時価で発行されたものとしていますが、勿論、これを時価未満で発行することも可能です。

  • そのほか、新株予約権や新株予約権付社債においても同様です。
  • 希薄化についてはこちらのエントリをどうぞ。



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