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テラメント – アンサイクロペディア

テラメント株式会社 (Teramento Corporation) は、神奈川県川崎市に本社を置く日本の企業。日本を代表するコングロマリット。山口滋氏が創業から2ヶ月で築きあげた。事業内容は、製薬から宇宙航空分野まで多岐に渡る。会社法人等番号 0201-01-016934。発行可能株式数 1株、発行済株式数 1株、資本金の額 金1千円。単体決算:08年3月期 当期純利益(億円)74,098 /08年3月期 当期純利益率 35.7%。

遅まきながら月曜の朝刊で知ったテラメント騒動(笑)、早速ググってみたら出てきたのが上記のような情報。検索結果がトップだったので、しばらくはウィキペディアのつもりで読んでましたw ありえない内容ですが、てっきり悪戯者によって荒らされているのかと…w

青天の霹靂というかコロンブスの卵というか、投資家に対して積極的に情報を提供することが必要であるという開示の精神の裏をかいたやり方。EDINETはインターネットの技術を利用することによって、それをより簡便且つ効率的に行なうことを可能にしたものですが、簡単に情報を提供できるならば嘘だって簡単につけるwww 情報化社会というのは面倒なものですw 山口さんは、そのことを指摘したかったのでしょうか。

UnNews:大企業テラメント、贋金発行等の容疑で家宅捜索へ – アンサイクロペディア

また、今回の件でEDINET(エディネット)は提出された報告をまったく確認しないまま公開していることが世間一般に知られることになり、大量保有報告書を受け付ける財務局のチェック体制の甘さも同時に発覚した。虚偽の大量保有報告書を提出することで、誰でも特定の銘柄の株価を吊り上げられる(見せ掛けのであるが)ことが可能であることが判明したため、さっそく悪質な闇の勢力や個人投資家の比較的無名な株への工作が多発。

監視委、名証の処分勧告へ――新興市場、上場審査の甘さ指摘

証券取引等監視委員会は11日、名古屋証券取引所に行政処分を出すよう金融庁に勧告する方針を固めた。名証が運営する新興企業向け株式市場「セントレックス」で、上場時の計画に比べ業績が大幅に下振れする企業が出るなど、甘い上場審査が相次ぎ発覚したためだ。

セントレックスなど新興市場の株価は長期低迷を続けているが、その一因として上場審査の甘さが指摘されている。監視委はこうした事態を放置したままでは、個人投資家にも不利益が及びかねないとして警鐘を鳴らす。証券取引所が審査の甘さを理由に勧告を受けるのは極めて異例。監視委からの勧告を受け、金融庁は名証から事情を聴き、業務改善命令の発動を検討する見通しだ。

[12月12日/日本経済新聞 朝刊] (12/12 7:00)

何を今更と思っている方もさぞかし多いものと推察しますがw珍興市場(ⓒVC一夜漬けblogさま)の雄、セントレックスが「審査の甘さ」を理由に勧告を受けたそうです。丸八証券が相場操縦を行っていたケイエス食品もセントレックスではなく二部でしたがやはり名証でした。振り返ってみれば、これまでにも色々なことがありましたね。

エイチ・エス証券、IPO価格を吊り上げで証取委員会が行政処分勧告
●名証に行政処分 情報管理に重大な問題!
べんちゃーびじねす(笑)~上場したらゴールしてもいいよね?~[株]
初心者が絶対買ってはいけない銘柄

セントレックスフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

上場基準が緩いため、ネット系証券会社が事業継続性や信用力に乏しい企業を上場させる例が見られ、審査に疑問を投げかける投資家も多い。特に、上場市場がセントレックス、主幹事がエイチ・エス証券、会計監査が中央青山監査法人(解散したみすず監査法人)の場合を三点セットなどと揶揄された。名証を含め地方市場を取り扱う証券会社が少ないために投資家の買いが入りにくい傾向にあり、初値が公開価格を割り込むことが多い。

百科事典でこんな紹介のされ方をしてしまう取引所って…w
試しに名証のHPからセントレックス銘柄を拾ってみた結果が以下。

平成19年11月8日 3252 日本商業開発(株) こうべ アスカ
平成19年4月2日 2146 ユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス(株) いちよし 仰星
平成19年2月19日 2139 (株)中広 みずほインベスターズ 中央青山
平成18年12月22日 3066 (株)JBイレブン 東海東京 中央青山
平成18年12月15日 3830 (株)ギガプライズ こうべ 新日本
平成18年12月12日 3829 (株)セルシス みずほインベスターズ 新日本
平成18年11月20日 3061 KFE JAPAN(株) 東洋 トーマツ
平成18年11月2日 2130 (株)メンバーズ 楽天 中央青山
平成18年10月26日 7824 (株)オプトロム 楽天 あずさ
平成18年10月19日 3057 (株)ゼットン 東海東京 コスモス
平成18年10月11日 3821 (株)フラクタリスト みずほインベスターズ あずさ
平成18年9月12日 3228 (株)三栄建築設計 HS トーマツ
平成18年8月22日 2494 メディカル・ケア・サービス(株) HS 新日本
平成18年6月20日 3808 (株)オウケイウェイヴ HS トーマツ
平成18年6月2日 2485 (株)ティア 東海東京 トーマツ
平成18年4月6日 3032 (株)ゴルフ・ドゥ HS トーマツ
平成17年12月20日 8943 (株)エスグラントコーポレーション こうべ 優成
平成17年12月14日 2467 (株)バルク 楽天 あずさ
平成17年11月29日 2460 (株)アプレシオ HS 中央青山
平成17年11月17日 3781 (株)データプレイス HS 東陽
平成17年9月29日 8948 ランドコム(株) HS 中央青山
平成17年9月15日 3384 (株)アークコア イー・トレード 中央青山
平成17年9月7日 3383 (株)ノア みずほインベスターズ あずさ
平成17年8月11日 9428 (株)クロップス 東海東京 中央青山
平成17年8月1日 3379 (株)富士バイオメディックス 東洋 麹町
平成17年7月12日 3775 (株)ガイアックス こうべ 中央青山
平成17年6月7日 2447 (株)NowLoading こうべ 新創
平成17年4月6日 3366 (株)一六堂 こうべ トーマツ
平成17年3月29日 4567 (株)エフェクター細胞研究所 ライブドア 港陽
平成16年11月19日 3351 店舗流通ネット(株) こうべ 新日本
平成16年10月28日 3346 21LADY(株) HS 中央青山
平成16年6月1日 3324 (株)エイペックス HS 新日本
平成16年5月20日 3739 コムシード(株) HS トーマツ
平成16年2月3日 8919 (株)やすらぎ こうべ 清友

csvも用意しましたので、読みにくかったらExcelで開いて見てくださいな。そこまでするほどのデータじゃありませんけどw 尚、主幹事と監査法人はすべて旧社名で記しています(インヴァスト・KOBE→こうべ、みすず→中央青山など)。その集計結果は下記の通りで、実に見事な「三点セット」、やはりウィキペディアは正しかったw

HS 10 29.4%
こうべ 8 23.5%
みずほインベスターズ 4 11.8%
東海東京 4 11.8%
楽天 3 8.8%
東洋 2 5.9%
イー・トレード 1 2.9%
いちよし 1 2.9%
ライブドア 1 2.9%

中央青山 9 26.5%
トーマツ 7 20.6%
新日本 5 14.7%
あずさ 4 11.8%
清友 1 2.9%
麹町 1 2.9%
コスモス 1 2.9%
新創 1 2.9%
東陽 1 2.9%
仰星 1 2.9%
港陽 1 2.9%
優成 1 2.9%
アスカ 1 2.9%

「TOBに違法融資」旧ライブドアオートが米大手証券提訴

中古車販売店「カーチス」を経営する東証2部上場の「ソリッドグループホールディングス」(旧ライブドアオート)は7日、自社に対するTOB(株式公開買い付け)の資金を違法に融資したとして、米証券大手「リーマン・ブラザーズ証券」に30億円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。

訴状などによると、ソリッド社は今年1月、投資会社に買収された。投資会社は買収にあたり、ソリッド社の資産を担保にリーマンから120億円の融資を受けていたが、買収後、融資を返済できなかったため、ソリッド社の資産が返済に充てられたという。

ソリッド社は「リーマンと投資会社から、『一時的な資産保全のためだ』などとウソをつかれて資産を担保に入れさせられ、損害を受けた」と主張している。(2007年12月8日0時18分 読売新聞)

買収先の資産を担保に資金調達を行うのがLBOでしょう? 買収完了後に訴えても何となく手遅れ感しか感じませんねえ。「『一時的な資産保全のためだ』などとウソ」というのも説得力ないです。

リーマン・ブラザーズ証券株式会社に対する訴訟の提起に関するお知らせ

しかしながら、LB 社は、貸付手数料・利息等の利益を得るために、SA 社に対して2 度にわたって計金150 億円を貸し付け、当社の資産のみを元手に、当社及び当社の資産を支配しようと企図したSA 社及びSA 社元役員と共謀の上、当社の資産を返済原資とする予定であったことを当社に秘し、「一時的な資産保全のため」等と当社を欺罔して、当社をしてLB 社のSA 社に対する債権の担保として当社の120 億円相当の現金等資産に質権を設定させました。その後、一度は当該質権を解除して当社に当該資産を返還するも、「CMS」を名目に即時に当社からSA社に対して計金120 億円を送金させた上で、SA 社をして本預託契約に基づいて、LB 社に同額の預託を行わせ、最終的にその預託金120 億円をもってSA 社のLB 社に対する150 億円の債務の返済に充当させました。

「当社の資産を返済原資とする予定であったことを当社に秘し」とか言っても、買収する側が買収資金の出所を買収された側に言わなければならない義務はないですし、担保提供しておいて今更ガタガタ言い出しても遅いでしょ、という印象しか持ちえません。

ソリッドグループホールディングス フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ゴーイングコンサーンの懸念
この節には現在進行中のことを扱っている文章が含まれています。性急な編集をせず事実を確認の上投稿してください。

親会社ソリッドアコースティックス(SA社)は、リーマンブラザーズ証券(LB社)からカーチス(当時)買収費用として借り入れていた150億円の担保として、子会社ソリッドグループホールディングス(SGHD社)が保有する現預金・国債等の資産120億円を提供していたが、LB社はSA社に返済能力がないと判断、2007年6月6日に借入金の一括返済を求め、SGHD社が提供した120億円をそのまま返済金の一部に充当した。SGHD社はSA社にこの返済を求めたが、SA社やその親会社KGホールディングスの返済能力は疑わしく、2007年3月期決算においてその大半を貸倒引当金として計上するに至った。

かねてより2期連続して赤字を計上しているSGHD社は、主力事業の早期本復は見込めず、さらに現預金資産の大半を失ったことにより、継続企業の前提に重要な疑義(ゴーイングコンサーンの懸念)が存在することとなった。この対応として、SA社への損害賠償請求訴訟を起こす一方、資産の切り売りやエクイティファイナンスにより当座の運転資金を確保する計画だが、企業価値の更なる低下は避けられない状況である。

この件に関して、担保設定された資産がすぐに解除されたかのように見せかける情報開示を行なったとして、東証から改善報告書の提出が求められている。

この辺りが提訴に踏み切った理由でしょうか。

ソリッドグループホールディングス フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

沿革
2007年4月1日 – 社名を「株式会社ソリッドグループホールディングス」に変更。
2007年5月11日 – 前日発表予定の2007年3月期決算の発表を延期(以後、本件を含め4度に渡り延期発表)。
2007年5月16日 – プロパーの役員である井上博文・山田邦昇両名の職掌を剥奪、非常勤取締役とする。
2007年5月24日 – 東京証券取引所より、開示情報に事実と異なる内容がある旨指摘を受け、改善報告書の提出を求められる。
2007年6月6日
リーマンブラザーズ証券に担保提供していた120億円に対し質権実行を受ける。
井上博文・山田邦昇両名が前職掌に復帰(副社長への復帰はなし)。
2007年6月12日 – 2007年3月期決算短信を発表。
2007年6月28日 – 吉原譲治代表取締役会長、菅野谷昌洋代表取締役社長の新体制発足。
2007年7月31日 – 親会社ソリッドアコースティックスを提訴(次項を参照)。
2007年8月7日 – 吉原譲治、代表権および会長職を返上。取締役には留任。
2007年10月31日 – SFCGの関連会社であるケン・エンタープライズから公開買付けを受ける(取締役会は反対を表明、敵対的買収)。

沿革は今年の4月以降しか載っていませんw  7月には先に親会社の方を訴えていたんですね。 そのソリッドアコースティックスも酷い書かれようですw

ソリッドアコースティックス フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ソリッドグループホールディングスとの関係
ソリッドアコースティックス(SA社)はライブドアからカーチス(当時)を買収するにあたり、リーマンブラザーズ証券(LB社)から150億円の資金を借り入れていた。この資金調達はSGHD社の資産と株式を担保としたものであり、事実SA社は買収後にSGHD社の現預金120億円、および取得したSGHD株を担保としてLB社に差し入れていた。SA社としては、SGHD社の企業価値を高め、株価を上昇させることでこの返済に充てる目論見であったと考えられるが、株価は低迷、業を煮やしたLB社には一括返済を迫られる事態となった。

その結果、SGHD社は現預金の大半を失い運転資金にも事欠く状況となり、SA社はSGHD社の提供した120億円をそのまま負債として抱え込むことになった。計算上では、借入残額の30億円は2007年6月現在の株価でも売却により十分返済できる金額だが、仮に売却したとしてもSGHD社への債務まで賄うことは難しく、結果SA社も資金繰りに窮することとなった。

SGHDからの賠償請求訴訟を受け、2006年に相次いで設立した子会社群をその代表者に買い取らせるなど金策に走っているが、本社の賃料も滞る状況で、家主である住友不動産からも提訴を受けている。

[編集] 阿部勝彦の不法行為・その他問題、馬場芳美との関係
監査役に就任していた阿部勝彦は、元山一證券マレーシアで現地代表者を務めていた在任中に、山一の飛ばしをはじめ数々の不法行為に手を染めていた。山一の破綻と共に、帰国し、グッドウィルグループのベンチャー投資会社{GWキャピタル}の代表取締役に就任。数々の詐欺まがいの資金集めが発覚し、同社を閉鎖。その後は、パラオのカジノ構想、マグロ養殖事業、風力発電、海外クレジットカードを利用した風俗店決済システム等をネタに、詐欺まがいの資金を集める。CMCの社長に就任するも、経営陣と詐欺まがいの手法を巡り、トラブルとなり辞任に追い込まれる。現在は、証券詐欺会社の幹部、風力発電詐欺の馬場芳美と共に、アンカーグループという詐欺会社を設立。阿部氏に株式投資詐欺で騙されたという多数の投資家が返金を迫っている。盟友である馬場芳美は、UCカード顧問という肩書きを名乗って、不正に資金を集めると同時に、数々の詐欺まがい商法を実施している。彼ら、詐欺グループの主張する事業は全て実現性が無く、悪質である。

誰もが自由に編集できる百科事典ですから真偽の程は分りませんが、ひたすら混乱しか感じられませんw

丸八証券

VC一夜漬けblogさんにこんなエントリが載っていました。

丸八証券に捜査

さてこんどは丸八証券に捜査が入った模様です。 
中日新聞の報道によると容疑は「新規上場企業の株価を維持するため実勢価格とは異なる価格での買い注文を勧誘した」だそうです。
社名は書いてありませんがケイエス冷凍食品(名2:2881)です。
丸八証券唯一の主幹事案件だから間違いありませんw
確かに時系列データを見ると公開日から約3ヶ月間、公募価格近辺で粘ってました。

しかし、この書き方だと「株価を維持するため」「買い注文を勧誘した」結果、「約3ヶ月間、公募価格近辺で粘って」いた訳で、まるで本当はもっと安くてしかるべきと言外に匂わせているように読めてしまうのがおかしいですねw

丸八証券を刑事告発へ 新規上場企業の株相場操縦の疑い – 中日新聞2007年12月6日 朝刊

名古屋市の丸八証券が、新規上場企業の株価を維持するため実勢価格とは異なる価格での買い注文を勧誘したとして、証券取引等監視委員会(監視委)は5日、金融商品取引法(旧証券取引法)違反の相場操縦の疑いで、同社の強制調査に着手、幹部社員を名古屋地検に告発する方針を固めた。

監視委の検査で相場を操作する行為が発覚。東海財務局が10月に全店に対して10日間の株式売買受託業務の停止を命じていた。

監視委は「顧客に損失を強いるだけでなく、市場を惑わせる相場操縦行為に当たり悪質」として行政処分にとどまらず、刑事告発に踏み切る判断をした。

違法行為が行われた当時、会長職にあった吉田則雄元相談役の刑事責任追及も視野に入れて調査を進めている。

監視委によると、丸八証券は昨年3月、名古屋証券取引所二部に上場した冷凍食品会社の主幹事を務めた。株価が下落するのを避けるため、4月から5月にかけて1株1850円の公募価格と同じ価格で同社株を購入するように勧誘し、103人の顧客から計3万3200株の買い注文を受託した疑いが持たれている。

丸八証券が設置した第三者委員会は、吉田元相談役の影響力の大きさが最大の要因と指摘する報告書を公表している。

報告書などによると、吉田元相談役が上場日までに「買いを入れてほしい」と発言。リテール本部長らは「業務命令と思った」と話しているが、吉田元相談役は「直接的な指示はしていない」と否定しているという。

これが引用されていた中日新聞の記事です。時間が経つと消えてしまうかもしれませんので全文引用。

「強制調査」とか「幹部社員を名古屋地検に告発」とか「会長職にあった吉田則雄元相談役の刑事責任追及」とか、随分と物騒な言葉が並んでおり、当局の強い姿勢が感じられます。率先して金商法の遵守に取り組むべき証券会社が相場操縦をやったとあらば洒落になりませんから当然といえば当然なのかもしれませんが。

ここでも「顧客に損失を強いる」と書いてありますので、監視委は株価が下がることを前提にモノを喋っているような印象を受けます。ケイエス冷凍食品の社長さんは「失礼な」と怒ってもいいのかもしれませんねw 仮に、この銘柄の成長期待が大きく株価が将来的に上昇していく可能性が高いと目されるなら、「公募価格と同じ価格で同社株を購入するように勧誘し」たって大して悪いことではない筈ですよね。もっとも、そのような銘柄であれば「公募価格と同じ価格で」は変えないでしょうし、丸八証券もわざわざ相場操縦などしなくて済んだのは当たり前なのですがw

そもそも今回の報道に先立って「10月に10日間の株式売買受託業務の停止」命令を受けてたんですね。これに関する会社の発表資料を読むと、相場操縦のみならず取引一任勘定取引まであったことが記されています。

金融商品取引法に基づく金融庁の弊社に対する行政処分について

①弊社常務執行役員西尾支店長(当時)、執行役員庄内支店長(当時)ら4 名は、その業務に関し、平成16 年4 月1 日から同17 年6 月頃までの間、それぞれの顧客計4 名との間で、有価証券の売買の受託につき、顧客の個別の取引ごとの同意を得ないで、売買の別、銘柄、数又は価格の全部について定めることができることを内容とする契約を締結した上で、同16 年4 月14 日から同18 年11月13 日までの間、取引を執行した。
弊社及びその使用人が行った上記の契約の締結行為は、旧証券取引法第42 条第1 項第5 号に規定する「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」に該当すると認められる。

これにより「このような事態が発生した抜本的な問題を洗い出し、今後の再発防止を図るために、証券取引等監視委員会より行政処分勧告を受けた平成19 年9 月28 日、顧問契約のない第三者である弁護士による『調査委員会』」が設置されたそうで、その調査報告もHPから入手する事が出来ます。これがまた振るっていて、取引一任勘定取引については「当社の構造自体に問題があること窺わせる」とか、「その事実を隠蔽するために架電記録を偽装していた」とか、当局を激怒されるに十分なわけですw これでやっと「地検に告発」だの「元相談役の刑事責任追及」だのといった強い調子で報じられていたことに納得がいきました。

他にもてんこ盛りですよおw

調査報告書 丸八証券株式会社特別調査委員会

平成17 年10 月に当社が一任勘定取引について自主申告を促したが、当時コンプライアンス本部担当の常務執行役員であった本人は、申告を行っていない。

コンプラ担当役員がこれでは当局が怒るのも無理はありませんなw

調査報告書 丸八証券株式会社特別調査委員会

当社は、平成13 年7 月18 日に財務局担当者に対し、提出予定の報告書の内容を相談したところ、内容の不備についての指導を受け、最終的に改善報告書が提出されたのは平成13 年11 月8 日であった。

最初はいろいろと出し惜しみをしていたのでしょうね。4ヶ月も提出が遅れるとは、その間に相当厳しいやり取りがあったものと想像できます。

調査報告書 丸八証券株式会社特別調査委員会

当社は、改善実施状況報告書上は改善を行っているように記載しているものの、実際には従来の営業重視の姿勢を維持しており、前回の検査を受けて提出した改善策を真摯に実施していないことが窺われる。

これは丸八証券の「パーヘッド制」に関連する記述ですが、他にも「具体的にどのような点が問題であり、どのように解決すべきかについては明確にはされていない」とか「結局、何を改善されたのかが不明なままになってしまっている」とか散々な言われ様ですw

調査報告書 丸八証券株式会社特別調査委員会

平成17 年の処分後に提出された当初の改善報告書においては、ボイスレコーダーを導入するとされていたにもかかわらず、結果として、記録装置が導入されたのは平成18 年6 月であり、それも架電の記録(通話先電話番号、通話時間)のみを記録する架電記録装置であった。

全然、改善する気など感じられませんねw

調査報告書 丸八証券株式会社特別調査委員会

今回指摘を受けたα支店長(当時)は、平成17 年の検査において(当時、常務執行役員α支店長であった)、部下の無断売買について認識していながら、顧客が追認しているため問題ないとして事故報
告届出を行わなかったことを指摘されている。その後、同支店長は平成17 年12 月1 日にコンプライアンス本部副本部長、内部管理統括責任者となり、さらに、平成18 年1 月には検査部長及び内部管理部長を兼務し、検査から1 年もたたない平成18 年6 月にはδ支店長及び取締役に就任している。
違法行為を行った人物を内部管理統括責任者とすることは、会社の法令遵守に対する取り組みが本気ではないとのメッセージを従業員に与えているのと同然であり、従業員のモラル低下を招く重大な問題である。

極め付きはこれですかね。違法行為を行った者が出世していく会社で順法意識など芽生える筈もありませんw でもこれどこの業界でも多かれ少なかれありがちな話なのではw

たった1本ゲームがコケただけで赤字に留まらず債務超過ですか!? 上場企業にしては珍しい話ですねえ…。

業績不振のさくらインターネット、笹田社長が引責辞任

9月中間期、オンラインゲーム事業の「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」の専用実施権や固定資産について3億9100万円の減損損失を計上。同期の最終損益が5億7500万円の赤字になった上、債務超過に転落した。

391百万円なんて、流行のサブプライム関連の損失額に比べればホンの僅かにしか過ぎないのに債務超過転落とは、元々それほど体力のない会社だったのでしょうか。H20/3-1Q終了時点の連結純資産額が533百万円で、今回の損失計上額が(1)固定資産等の減損損失(連結・個別)391百万円+(2)のれんの減損損失(連結)54百万円+(3)関係会社株式評価損(個別)98百万円+(4)投資有価証券評価損(連結・個別)65百万円、合計608百万円というわけですか、あらまあ。

そのゲーム、サービス開始は6月1日予定だったそうですから僅か半年前だった訳ですが、駄目だと判断したらにスパッと損失計上、うだうだ言い訳せずに責任とって辞めるあたり、この社長さんはなかなか責任感のある誠実な方ですね。しかしその後の事業の一部を関連会社に譲渡して300百万円の益を捻出し、更にその関連会社を300百万円で売却しようという策はいかにも苦しいです。

新社長さんのblogでは下記のように記載されておりました。

決算下方修正について

オンラインゲーム事業では、上半期(4月から9月の6ヶ月間)に2億8千万円弱の売上を見込んでおりましたが、結果としては4千万弱の売上という、約2億4千万円の大幅な乖離が発生しており、これ以上続けることによって、好調な本業を立ち直れないものにしてしまう可能性があるとの判断から、今後発生しうる損失を全て先に計上すると言う、苦渋の決断へと至っております。

「今後発生しうる損失を全て先に計上する」と書かれていますが、恐らくゲーム運営は継続しないでしょうから、「今後発生しうる損失」とは将来発生する損失を現在価値に引き直したものではなく、ゲーム関連投資額全体であるとすれば、今回の損失計上額である400百万円弱がオンライン・ゲームを始めるに当たって必要な金額であると想像できます(回線費用は別)。減損額の中身は「オンラインゲーム事業のロード・オブ・ザ・リングス オンラインに関連する工具器具備品、ソフトウェア、専用実施権、リース資産」だそうですが、このゲームの場合には117百万円だった「専用実施権」はゲームによって相当大きく変ってくるでしょうから、一概に400百万円と決め付けられないことは勿論です。

さて、半年間で280百万円の売上を見込んでいたら40百万円しか売れなかったというのは厳しいですね。一体ユーザーはどの程度いたのでしょうか。実際に遊んでいたと思われる方が「7,500円で半年間」と仰っていますから、単純に割り算すると5,333人ということになります(公式サイトによれば1,500円/月だそうで、6ヶ月分の9,000円で割ると4,444人ですか。7,500円とは何らかの割引を加味した値段でしょうか?)。「売れないのは洋ゲーだけでなく、ほぼ6割のタイトルは同時接続者数1万以下の状況にあると思われる」との事ですが、ユーザー数がこの程度であれば同時接続者数はもっと少なかったものと考えられます。また「LotROは地味過ぎるんだよ。後、同時接続1万人以下は9割な気がする」という観測が正しいとすれば、オンライン・ゲーム市場と言うのは(少なくとも国内においては)なかなか迂闊には参入できない分野であることが改めて分りますね。

さくらインターネットってデータセンター屋さんですよね。縁の下の力持ちとして大儲けは出来ないけれど地道に稼いできた人がいきなり派手な舞台に上って見事にコケた感があります。下記の方の分析が辛辣ではありますがよくまとまっております。

さくらインターネット 債務超過転落

それがさくらネットも他のアフォなデータセンター屋と同じく、本業に注力してればいいものをわざわざ欲目をだしてコンテンツ配信事業(この場合はオンラインゲーム)に進出して自滅したそうで。有料会員が集まらずw

そもそも、オンラインゲーム専業のゲームオンとかガンホーとかだって、会員数が増えないことに苦しんでいる有様で。その対策として月額有料会員制→アイテム課金制に移行している、結果として無料会員比率が上がって、会員からカネを取るのに四苦八苦しているわけであります。

「いきなり派手な舞台に上って」などと書きましたが、昨年の段階でDDOというゲームを開始していたようで「いきなり」ではなかったようです。しかし、これについても前期決算において「当該オンラインゲームに関する固定資産の帳簿価額を全額減損して」181百万円を特別損失に計上しているんですね。「コンテンツ配信」事業の売上高は52百万円、営業損失は314百万円だそうで、要するに2つともコケた訳です。

こうなってくると元社長の昔のインタビューが痛々しく見えてきます。

さくらインターネットCEO笹田亮氏インタビュー
ゲーマー社長が推進するIDCとMMORPGの新たな関係

編: 私から見て、「DDO」を選んだ一番の動機は、笹田さん自身が熱心に欧米のオンラインゲームをプレイなさっていたからではないかと思いました。過去にはどういったゲームをプレイなさっていましたか。

笹田氏: そうですね。最初は「Diablo」からスタートして、社内でも流行りました。そして「Ever Quest」、「DARK AGE OF CAMELOT」、「PlanetSide」、「EVE Online」、そのほか色々ですね。英語版のゲームを遊び慣れているというところはあります。

ここだけ読むと「ゲーマー社長」が趣味で始めちゃったんじゃないか、という印象を受けますが、例えそうであったとしても、自分の好きなものを商売にすること自体は別に悪いことではありません。ユーザーであるからこそ細かい点までそのビジネスを熟知している、ということもあるかもしれません。問題はそれを成功に導けるかにある訳ですが、自らがゲームを提供する側になった途端に「生産者側」の論理になってしまっているのが気になりました。

さくらインターネットCEO笹田亮氏インタビュー
ゲーマー社長が推進するIDCとMMORPGの新たな関係

データセンターというインフラを持つ会社が、ゲームをパブリッシングしたらどうなるか、と言うことをお伝えしたかった。そうすることで、日本のゲーム市場ってもっと大きくなるんじゃないかなと。

他のゲーム会社さんの話を聞いてみると、ユーザーからの不満って比較的インフラとか、データセンター周りの回線だとか、24時間体制でないとか、サーバーがダウンした時、復旧どうするの、といった不満が多くを占めている。こういった中でデータセンターと協業していけば、日本のゲーム会社はもっと良いオンラインゲームを出せるのではないか

本当にインフラとか回線とかの問題が「ユーザーからの不満」の「多くを占めている」んでしょうか。勿論、そういったものもあるでしょうが、もっとゲームの内容に関するものの方が多いんじゃないでしょうかねえ。「サーバーがダウンした時、復旧どうするの」なんて緊急時の問題などゲーム始める前から気にしている人なんて、どれだけいるんでしょうか。ましてや「データセンターというインフラを持つ会社が、ゲームをパブリッシングしたらどうなるか」なんてことは、プレイするに当たってユーザーには何の関係もないことです。

結果としてはユーザーを集められなかった訳で、これだけ力強く語っている以上、上記のような問題は発生しなかった(させなかった)のでしょうから、問題はゲーム内容の方にあったのではないかと思う訳です(これについてはネトゲ研究日誌さんのコメント欄で議論が展開されています)。VBにありがちなNeedsを忘れたSeeds Orientedによる失敗を上場してからやっちゃった、というところでしょうか。

元社長 : 「良いクオリティのゲームを作っているのに、インフラのコストが出ないよ、という会社に対して、うちはインフラを提供します。しかも原価が売り上げを超えることはありませんよ。」

現社長 : 「結果としてオンラインゲームにおける大きな原価については本業の収益で吸収され」

原価割っちゃったんですねw

SEOのコンサルティング等を手がける㈱フルスピードという会社が東証マザースに上場するようで。SEOというのは、詳しい方々の間でいつも激論が戦わされているアツい分野というイメージがあるのですが、この会社についても毀誉褒貶が激しいようです。私は門外漢なのでさっぱりですが、良い評判はこことかここ、あんまり良くないものはこここことかで色々と取り沙汰されているようです。

半期報告書による近年の業績推移は以下のような具合。

H17/7期(連結) 売上高576百万円 経常利益160百万円 当期利益89百万円
H18/7期(単体) 売上高1,759百万円 経常利益346百万円 当期利益197百万円
H19/1中間期(連結) 売上高 2,009百万円 経常利益307百万円 当期利益169百万円

急成長してますね。H19/1中間期の数値はH18/7期を上回っています。H18/7期だけ単体なのは、H17/7/1付けで連結対象子会社を吸収合併したことによる模様で、H17/7期決算において連結調整勘定を一括償却しています。

H19/1中間期の売上の内訳は、SEOコンサル483百万円、リスティング広告1,101百万円、その他の広告166百万円、インターネットメディア事業258百万円となっており、リスティング広告の比率が高いようですが、H17/7期を見てみるとSEOコンサル178百万円に対してリスティング広告は26百万円しかなく、前期より急激に伸ばしてきた事業のようです。Googleのアドワーズとオーバーチュアのスポンサードサーチが対象と書いてあります。所謂、検索連動型広告というやつですね。

このリスティング広告に関して、報告書には「当社は、[クリック単価×クリック回数]を基準に計算される利用料をクライアントから取得し(総額を売上に計上しております)、この金額から一定料率の代理店手数料を控除した金額を広告枠利用料としてオーバーチュア株式会社又はGoogle Inc.に支払っております。」とあるので、代理店手数料が本来の意味での売上なのでしょうが、ここでは粗利という扱いになっています。要は「オーバーチュア株式会社又はGoogle Inc.」が販売する広告の「利用料」の一部を、仲介しているフルスピードが手数料として取っているわけですね。

ちょっと他社比較をしてみましょうか。

フルスピード H19/1中間期(連結) 売上高 2,009百万円 経常利益307百万円 当期利益169百万円
アイレップ H19/3中間期(単体) 売上高 3,860百万円 経常利益173百万円 当期利益99百万円
アウンコンサルティング H18/11中間期(単体) 売上高 2,470百万円 経常利益317百万円 当期利益175百万円

フルスピードの成長速度が速いので、各社とも中間決算を比較してみました。フルスピードとアウンコンサルティングは同じような感じですが、アイレップの利益率がやや見劣りしますね。アイレップは「シニアマーケティング事業」として「有料老人ホーム紹介業と介護施設向け人材紹介業」を営んでいるそうですが、売上高は41百万円しかないので、この部門の利益率が他に比して低かったとしても影響はそう大きくはなさそうです。但し、この部門が赤字であれば話はまったく別ですが。

因みにアイレップの報告書にはオーバーチュアやGoogleに対する「仕入実績」3,120百万円が載っているので、リスティング広告の「販売実績」3,537百万円からこれを差し引いて、その売上高で除算すると粗利率は11.79%となります。なんだか棚卸資産と原価を混同しているみたいですが、事業の性格上、ユーザーがクリックした時点で売上と原価が同時に発生するものと仮定して強引に計算してみました。勿論、仕入先から包括的に前受金のような形で受け取っている場合には当て嵌まりません。

アウンコンサルティングにも同じような数値が記載されており、P4P(検索連動型広告とコンテンツ連動型広告のことらしいです)の「販売実績」が2,224百万円、「仕入実績」が1,800百万円ですから、こちらは19.08%となります。むむ、両社の間には2倍弱の開きがありますね。ここからこの商売の利益率が掴めるかと思ったのですが。尤もアイレップの方は検索連動型広告のみ、アウンコンサルティングの方はコンテンツ連動型広告を含んでいますから、単純比較出来ないのは最初から分りきっていたことなのですが。

肝心のフルスピードの報告書には「仕入実績」が載っていないのですが、代わりに「クライアント数」が報告されているので、平均単価は分りそうです。SEOコンサル部門の売上483百万円を「クライアント数(キーワード単位)」718件で割ると526千円となりますね。また、リスティング広告については1,101百万円を「クライアント数(サイト単位)」227件で除算すると2,840千円となります。これが業界の相場と比べてどうなのかは知らないのですが、少なくとも前者については下記のサイトさんの仰っている金額に近い数値のようですので、案件の価格としては的外れでもなさそうです。

フルスピード、8月2日マザーズ上場へ

被リンク型SEOをかなり売っています(自分が営業を受けたときは1リンク50万/月くらい)が、Googleが被リンク販売業者の通報制度を始めたこと。(未だやっているみたいですが、いつか出来なくなると思います。)

資本政策についてですが、業績の伸張に伴ってか、時系列で見ると10,000円→15,000円→157,000円→300,000円と、見事に株価が急上昇しています。いずれの株価も類似会社比準方式によって決定したと書いてありますが、アイレップとアウンコンサルティングの2社を見る限りでは、株価の推移は逆方向であったようです。どこを類似会社にしたのかまでは分りませんが。

H17/7期中に役職員向けに増資したときの価格10,000円と15,000円は、当時(H16/7期決算数値)のBPS295千円に比較して非常に割安なものとなっています。対して、翌H18/7期中においては157,000円と300,000円でVC向け増資と新株予約権の発行を行っていますが、H17/7期末のBPSは14,000円程度です。要するに、身内に割り当てるときは1株当り純資産の1/20~1/30の値段で増資して、VCには10~20倍の価格で発行したわけですね、よくある話ですね、まぁ取引所が問題としないのなら別にいいでしょ(棒読みw)。報告書に記載されている想定公開価格510,000円からざっくりIRRを計算してみると、平成17年の9月に157千円で買った人でも65.36%、平成18年3月に300千円で買った人でも33.12%で回るようなので、VCも文句はないでしょう(IRRの計算は半年間のロックアップを加味しています)。

株主名簿には役職員の他に、JAFCO、JAIC、みずほ、MUFG、あおぞら、SBI等の有名VCや、GMO、CA、インタースペース、ドリコムといったIT企業の名前が並んでおりました。

(会社の)手取概算額は930百万円ですが、このうち使い道がハッキリしているのは337百万円だけで、残りの593百万円については、将来的に開発投資や買収や本社移転費用に使うかもしれないけど、現時点では「具体的な計画はない」との事です。手取りの2/3ものお金の使い道が分らないなんて、何を目的としてIPOするのでしょうか。公開価格が従来の想定よりも大幅に上回ってしまい、嬉しい誤算として使い道が決まっていない、というのであれば分らないでもないですが、そうであるなら510,000円の1/3程度の価格を想定していた筈で、それは前期中に実施した増資の際の発行価額300,000円を下回りますから、まずそれはないと思って良いでしょう。

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(3855)という、中国でオンラインゲームを提供している英領ケイマン諸島の会社が、日本の大証ヘラクレスに上場するという微妙なことが行われているようですね。しかも株主は全員VCとか。

ナインユー・インターナショナル・リミテッド(FC0438)有価証券届出書
当社グループは、音楽シミュレーションゲームである「O2Jam(勁楽団)」及び「Burst A Fever(超級楽者)」、ダンスシミュレーションゲームである「Audition(勁舞団)」及び「Super Dancer Online(超級舞者)」などのコンテンツをカジュアルゲーム市場に提供しております。

よく分りませんが、DDRみたいなゲームなんですかねえ。タイトル数もそれなりに揃っているようですが、ググってみるととんでもない情報が。

中国企業 ナインユー 大証ヘラクレスに上場!?

この会社、実はあまりよい噂を聞かない企業だったりします。
例えば、Auditionのパクリ作品として超級舞者(Super Dancer Online)を開発していたり、O2JAMのパクリで超級楽者(BURST A FEVER)、カートライダーのパクリでクレイジーライダーを開発していたりしています。
手口も酷く、他社ゲームのライセンス獲得>顧客をつける>勝手にそのゲームをパクッたゲームを発表>顧客を自社開発に流す>ウマーといった具合。
こんな盗作問題バンバンの会社が日本市場で上場―日本支社をつくったり―した場合・・・にはどう考えても法的リスクがでかすぎるような気がします。

あらら、そうなんですか。ライセンサーは、なぜ訴えもせずライセンス提供を継続してるんでしょうか。中国ってそういうとこ鷹揚なのか、「中国ゲーム会社ベスト10」やら「中国クールカンパニー」やらに選ばれているそうです。別のblogでも同じ内容で非難されていました。どうやら韓国や中国の動向に詳しいゲーマーさんの間では有名な話のようですね。

久遊網(9you)が韓国事務所設立 盗作論争は必須

「久遊網(9you)」は、音楽ダンスゲームの「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」を盗作した作品で、本家の韓国で展開しようと言うのですから凄いことです。
もっと凄いのは、「久遊網(9you)」は、「Audition(日本名:ダンシングパラダイス)」や「O2JAM」の正式な運営会社でありながら、自主開発品と称して盗作していることです。

「O2JAM」の場合は、「ゲームの完成度が低いため新作を作る」と勝手に発表して、「O2JAM2」としてサービスしようとしましたが、さすがに反発が強く名称だけは変更しました。 もちろんゲームシステムは盗用したままです。 他には、韓国No,1のレースゲーム「カートライダー」を盗作した「クレイジーライダー」などがあります。

今まで日本のゲームを盗用してきた韓国に対して、中国No,1の悪質な盗用運営会社が殴りこみをかける事になります。 盗用論争が起きることは100%間違いないでしょう。

中国 パクったゲームで北米展開

北米展開するのは「Audition」をパクった「超級舞者(Super Dancer Online)」と「O2JAM」をパクった「超級楽者(Burst A Fever)」の2つです。
この「久遊網(9you)」はあくまでも自社開発品としていますが”盗用”です。
韓国産ダンス・音楽ゲームの版権を獲得し、そっくりなゲームを作っている会社です。
まぁある意味”中国を象徴している”ような会社です。

ゲームを愛する方の正義感と憤りは分りますが、届出書を見る限り、残念ながら盗用に関する訴訟等の記述は見当たりません。勿論、この先は分りませんが。しかし、当然ながら開発元は怒っているようで、続編であるAudition2も、3も第九城市(The9)という別の会社にライセンスすることが決まっているようですから、今のライセンスが来年の7月22日に切れてしまい、契約更新が為されないならば、7割を占めているというAuditionの売上は大幅に減るかもしれません。しかし、子会社情報を見る限り利益にはあまり貢献していないようですし、提供しているゲームはこれだけではありませんから、これだけで何かを判断することは出来ませんが。

この会社、連結決算を見てみると、前々期(H15/12)は854百万円の売上に対して649百万円の経常損失だったのに、前期(H16/12)には売上高6,929百万円、経常利益2,149百万円と急成長。まだ設立3年目ですよ?

一方、単独では売上高1,080百万円、経常損失284百万円と冴えません。これは提出会社が持株会社だから? 届出書を見る限り、5つある連結対象子会社のうち、9uが自社開発ゲームの開発・運営、上海潤星が他社あるいは9uからライセンスを受けたゲームの配信と運営、後はIRのための日本現地法人と清算中の2社、といったところのようで、それらを管理・監督するのが提出会社であるナインユー・インターナショナル・リミテッドと記載されています(国外ゲーム企業に対してはライセンシー)。

要は9uと上海潤星が要のようですね。前者の売上は4,102百万円、経常利益2,357百万円、後者は売上高6,842百万円、経常利益74百万円(当期利益は238百万円)といった具合。利益率に大分開きがあるようで、運営自体は大して儲からない、ということでしようか。

Audition 結局、本物にはかなわない

そっくりなゲームを両方運営すると言う暴挙を平気で出来ることがさすが中国人だと思いますが、自社開発した「超級舞者(Super Dancer Online)」の人気はいまいちのようです。
(中略)
それに対して「Audition」は、中国の最高同時接続者数が73万人を突破し、人気は未だに上昇しています。 特にゲームの人気以外でも女性ユーザーが多いため、”出会い系”ゲームとしての人気も高く今後も人気が衰えることはないでしょう。
(中略)
今までに発表されている最高同時接続者数と登録会員数は、
韓国:最高同時接続者数:3万人、会員登録者数:400万人
中国:最高同時接続者数:73万人、会員登録者数:7,000万人
台湾:最高同時接続者数:4万5,000人、会員登録者数:300万人
ベトナム:最高同時接続者数11万人、会員登録者数:320万人
タイ:最高同時接続者数:3万人

このblog主さんが言うには、オリジナルであるAuditionが世界的にヒットしているのに対して、猿真似である「『超級舞者(Super Dancer Online)』の人気はいまいち」ということなんですが、先程見た通り、開発である9uが大変儲かっていたのに対して、運営主体の上海潤星は利益率が低いのは、ライセンス料(Revenue Share)がちゃんと開発した人へお金が流れていく仕組みになっているのではないかと想像するわけですが、だとすればAuditionに勝っているかどうかは別として、「超級舞者」だって結構な利益を上げているわけですから、ちゃんと成功しているということになりますよね、41カ国でサービスを提供しているそうですし。

それにしても中国の市場規模は桁が違いますね、凄すぎる。Auditionの開発元が表立って訴訟に踏み切らないのは、ライセンス収入がたっぷり入ってくるのでコトを荒立てるのは止めとこう、どうせライセンス期間は来夏までなんだし、という判断があるのかもしれません。

グループの中で最初に設立されたのは上海潤星は、連結対象とは言え提出会社と資本関係はなく、王子傑CEOの親族らが保有する企業のようです。その理由はと言うと、届出書によれば、中国国内でオンラインゲームの配信や運営を行うには「ICPライセンス」というものが必要で、これを取得しているのが上海潤星みたいなんですが、外国資本が「ICPライセンス」取得企業に投資することについては規制があるようです(50%未満)。加えて、ゲーム運営には「インターネット文化経営許可証」というものも必要で、こっちの方は外国投資家の出資が完全に禁止されていることから、直接出資することが出来ず、その代わりに「提携契約関係」を結んでいるとの事です。

しかし、元々は中国の人が中国で作った会社なんだから、わざわざ外国に会社を設立して国内の規制に四苦八苦しているのはなんとも不自然ですね。まぁ、いろいろと事情があるのは想像に難くないですが。因みに、日本の大証ヘラクレスに上場するのは、日本でゲームを展開するためではありません。主力のAuditionは既にNexonによって(あるいはその前から)サービスが提供されているようですから。「超級楽者」の方を日本でも普及させようとしているという可能性は…先行しているAuditionが不振なのですから低いでしょう。

それから、どこまで信頼できるものなのかはさっぱりですが、中国国内でのインターネットやオンラインゲーム市場に関する統計データが添付されているのは参考になりますね。それによると、中国のISP市場は$8.6bil、ユーザー数は112.6百万人だそうです。それでも「11人に1人」の利用割合だから、更なる増加が見込まれる、との事。1人当たりに直すと$76.37ですから9,000円強ということになりますが、アクセス費用としてはまだまだ高いと言えますね、日本に比べて。

オンラインゲームのユーザー数は2006年で45百万人、うちMMORPGが30百万人、カジュアルゲームが24百万人、とあります。ユーザー数こそ両者の数はそれほどの差がないのに対して、これを金額で比較すると58億人民元 : 14億人民元と、大きく開きが出てしまうのは、タイトル数や課金方法等が影響しているからでしょうか。

※追記1

Incoming Linkされたこちらの方のエントリで知りましたが、Auditionの開発元がライセンス料の不払いで9uを訴えたらしいですね。このタイミングで訴訟を起こすのは、太らせてから金を取ろうという作戦か、あるいは嫌がらせか。ライセンスの更新も行わないと言っている模様です。

上にも書いたとおり、上海潤星の業務が他社ゲームの運営であったとすると、9uに比べて利益率が低いということは、その分費用が多い、つまりライセンス料をきちんと払っているものと思っていたのですが。自社開発部門と思われる9uはきちんと稼いでいるようですが、製品がゲーマーさん達の間で言われている通りバクリであるなら、続いて著作権問題関連の訴訟が起こる可能性も捨てきれず、そのような事態になれば影響は大きいかも知れません。

※追記2

で、結局、上場延期ですか(笑)

※追記3

もう和解したようですが…?

何とか和解

礼堂オンラインは今度契約を通じて九城と2年間最小売上げ3820万ドルに全体売上げの30%をロイヤルティに受ける条件で契約を結んだ

先月あたりに上場予定だった九城は同作品のロイヤリティ不払いで開発元からアップデートを今後しないとの通告を受けていた。
その後、両社の契約は何とかまとまったようだ。九城は上場、各国のブランドタイトルを抑える、中国名うての運営会社などと持ち上げられてはいるものの、その実情は…

「九城は上場」と書いてありますが、再申請の運びとなるのでしょうか。

今日の日経一面に載っていた種類株上場。昨年に店頭市場が同様の趣旨を発表したので、てっきりとうの昔に追随したものと思っていましたが、まだだったんですね。丁度Ver6.0のリリース直前だったので、あわてて機能追加した覚えがあるのですが。
これに関して、あずさ監査法人がまとめているページがありました。

東京証券取引所が上場制度整備懇談会中間報告を公表 : あずさ監査法人

  • 原則として議決権に関する種類株式の上場は、新規公開時にのみ認める方向で検討することが適当である
  • 上場会社による上場株式より議決権の少ない株式の発行及び上場については、「株主の権利の不当な制限」とならない限りで認めるのが適当である
  • 新規公開時に議決権に関する種類株式の上場が認められるとした場合、そのスキームについては、議決権に関する種類株式に伴うデメリットを緩和する観点を中心として、株主の権利を尊重したスキームの種類株式の上場のみを認めていくことが適当である
  • スキームの法的安定性については別途確認が必要である

なぜ「新規公開時のみ」なんでしょうかね~。上場会社が優先株式を使って資金調達してはいけないのかしら。MSCBみたいにいろいろな仕組みを作って怪しいことをする企業が出てくることを恐れているんでしょうか。

バナーズ(3011)のMSCB : 「三叉路」株式日記
本項は普通株式数の変更が行われる場合に転換価額の調整を行うことを定めた条項であるが、『但し、株式併合の場合は除く』との記載がある。つまり、株式併合が行われる場合については、転換価額の調整は行われないと解釈できるのである。

へええええ。そんな新株予約権付社債が発行されていたんですか。びっくりです。
プレスリリースを読んでみましたが、確かに株式分割や無償割当の場合には転換価額を修正するとしているにも拘らず、しっかり「但し、株式併合の場合は除く。」と書いてありますねぇ。これが何を意味するかはこみけさんも解説されていますが、敢えて逆の言い方をしますと、株式併合が行われると行使価額が本来の1/併合比率に下がるよう設定されているのと同じことですね。

更には、他にも同じようなことをしているところがあったことが指摘されています。

バナーズ(3011)のMSCB : 「三叉路」株式日記
一方で、3月29日に発行が発表されたクインランド(2732)のCB(MSCBに非ず)にも、本MSCBと同様に、転換価額調整において株式併合の場合を除外する記載がある(プレスリリース)ことを考慮すると、今後、財務面での問題を抱える企業のファイナンスではこの条項が付与されることが多くなることも考えられるため、今後は転換価額修正条項だけではなく、転換価額調整条項の記載にも用心する必要が出てきたと考える次第である。

当プログラムでは、ちゃんと元の行使価額(あるいは種類株式の転換価額)に併合比率を乗算するようにしてますよw そもそもMSCBなんて用意していませんし 🙂

東京証券取引所の定款等の変更認可申請書の一部の所在不明について – 金融庁

東京証券取引所の定款等の変更に係る認可申請書で、平成8年度から平成14年度までの間(注)に提出されたもののうち、6件が所在不明となっていることが判明いたしました。これらのうち1件には、同証券取引所に係る個人情報(東証会員総会議長、監事、出席会員代表者(計6名)の氏名及び印影)が含まれております。

あら、こういうこともあるんですねw
個人情報といっても、発表文にある「氏名及び印影」程度なら調べまくれば分かりそうなものですが。申請書ですから、住所や電話番号まで記載されているとも思えませんし。

東証の上場に影響あるのかしらん。

…あまりなさそうですね 🙂